第21話 骸骨になっていますが
現れた二人の女性を見ても金ちゃんはいつもの調子で答えた。
困惑した顔のマナベが俺を見る。
俺は逡巡した。もう少し相手の出方を見たい。女性二人には俺の声は聞こえない。
だったら、とマナベと金ちゃんに頼むことにした。
「マナベに金ちゃん、その人たちにどうしてここに来たのか聞いてみてくれるか?」
「いいすけど。この人ら誰すか?」
「あなた一体誰と話をしているの?」
茶色のスカートの女性が険しい顔で言った。
そりゃそうだよな。見えてなかったらそう思うよな。
「もしかして、本当に何かいるの?」
キャミソールの女性が薄気味悪そうに尋ねた。
「えっ? 何かって?」
金ちゃんが聞き返す。
「ゆ、ユウレイ……とか、いるの?」
「いや、いないすよ」
金ちゃんが速攻で否定する。
確かに幽霊はいないよここには。骸骨ならいるけどね。
「金ちゃんごめん。悪いけど二人と話をするの。マナベに変わってくれ」
マナベはさらに困った顔をしたが、俺の頼みを聞いてくれた。
「金ちゃん、俺に代わってだってさ」
「あ、ああ、分かったよ」
金ちゃんは不服そうだったが頷いた。
「えっと、あなた方はここへ何しに来られたんですか?」
「あなたたちこそ、どうしてここに居るの?」
茶色のスカートの女性が警戒している。
これでは埒が明かないな。意外にも慎重な2人だと思った。
聞き返されてマナベがまごまごする。
「えっと、俺たちはその……」
「あたしたちは
「レイラって、テアシの事か……」
マナベが呟く。キャミソールの女性が眉をひそめた。
「何よ、手足って」
来てくれた。本当にテアシの母親が来てくれたんだ。
俺は感動した。
「金ちゃん、マナベ、このお二人のどちらかが本物のテアシのお母さんだ」
「え? マジで?」
「じゃあ……。この人たちがあの……」
マナベが2人をじっと見つめる。すると、茶色のスカートの女性が顔をしかめた。
「わたしたちはちゃんと答えたわよ。あなた達はどうしてここにいるの?」
「あ、俺たちはその……。骸骨に会いに来たんです」
「は?」
2人がビクッとする。
「いるんすよそこに」
「いるって……何が?」
「だから、骸骨が2人いるんす」
キャミソールの女性がぶるるっと震えて、目の前に立つ金ちゃんの手をぎゅっとつかんだ。
「あ、あなたたちは見えているの?」
「あ、はい。まあ……」
金ちゃんはさりげなくキャミソールの女性の手をほどいた。
茶色のスカートの女性は、ふううっと大きく息を吐いた。
「姉さん、本当に麗良がここにいると思う?」
「だってこの二人はあたしたちには見えないものが見えているんでしょ」
そう言うなりキャミソールの女性は持っていたバッグからスマートフォンを取り出した。
「じゃあ、このメッセージを送ったのはもしかしてあなたたちなの?」
それは紛れもなく俺が送ったメッセージだった。
俺はキャミソールの女性を見る。
この人がテアシのお母さん。
派手だな。そう思った時、テアシが俺の手にしがみついた。
俺たちは今、教室のテーブルを4つくっ付けて、各自椅子に座っていた。
マナベと金ちゃんにお願いして、座ってゆっくりと話がしたいと頼んだのだ。
すると、驚いたことに、茶色のスカートの女性が持っていたレジ袋の中身は、サンドイッチで、レイラに食べさせてあげようと持ってきたらしかった。
死んでいることを知っているはずなので、お供え物のつもりだったのだろう。
それを机に広げて、一人一つずつサンドイッチをほおばっている。
サンドイッチの種類は卵とハムサンドだった。
4人とも朝から食べていないらしく、一切れずつをゆっくり味わっていた。
俺は、自己紹介をしてもらうよう、金ちゃんたちにお願いした。
キャミソールの胸のでかい女性がテアシの母で、
そして、茶色のスカートが、妹の
セイラとアイラ、そしてレイラ。
完全に家族だな。
テアシは何を考えているんだろう。
見たところ、完全に殻に閉じこもっていると思われた。
サンドイッチを食べ終えたセイラが言った。
「ねえあたしたちには見えないけど、そこにレイラがいるの?」
「はい。います」
マナベが答えた。
骸骨になっていますが、とは言わなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます