第10話
その2
彼はいた…。
この日は遊戯室の一番奥のコーナーにマットを敷いて、バク転とかをやってるグループにの中に混じっていたのだ。
律也はとりあえず、入り口付近から様子を伺うことにした。
”アイツ…、バク転もできるのかな…。今のところ、周りで仲間の演技?を見物して、身ぶり手ぶりを交えて時折悪ふざけしてるけど…。で、例の女子の取り巻きも、今日は5人か…”
”ああ…ー!いきなり坊主頭のでっかい男子がバク転かましたぞ!着地でハデにずっこけてみな大笑いだが、拍手も湧いてる。ユウトは…、腹を抱えて笑ってるわ。でも単純に、あんな大きな体で、大したもんだよ。確かアイツも同じ中学入ったヤツだ”
彼は、目立たぬように、しきりに奥で繰り広げられている”展開と状況”をしきりに推察した。
今のところ、客観的に見て、自分など外様が入りこめる雰囲気でないのは一目瞭然だった。
そうなれば、今日の接触はあきらめざるを得ない…。
ここでの彼の焦点は、果たして青島ユウトが見学組ではなく、実際にバク転を披露する側に出るのか否か…。
そして、その妙技の出来栄えであった…。
だが、その答えは、律也の前になかなか現さなかった。
***
律也のリサーチは10分を超えた。
その間、坊主頭を含め、バク転にトライしたのは4人。
そのうちのひとりは2回チャレンジだったが、みな、着地は失敗だった。
従って、その場にいる男子7人のうち、律也がトライを目にしていないのはユウトを含め3人となっていた。
彼は相変わらず仲間とふざけ合ったりして、バク転に入る気配は感じられなかった。
ところがだった…。
急に少女たちから大きな拍手が湧きたつと、ユウトが屈伸を始めたのだ。
”やるぞ!ユウトがバク転にチャレンジする!”
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