第2話 そいつは栞にとんでもない物をはさむ奴だった②
二人が付き合い始めたのは“予定調和”の様にクラスのみんなには受け止められて……
“恋愛カーストの2トップ”(小町はともかく、聖也が“それ”該当するとは私にはどうしても思えんのだが)がマッチングしちゃったので私のクラスの恋愛模様は賑やかだ。
幸い私は蚊帳の外なので
今日もアニメやマンガやラノベの世界に浸って
心静かだ。
(まあ、“極まれ”に……ほんのちょっとだけ!エチぽくなったりするけど……)
そう、元々 聖也以外は誰も来た事の無いこの部屋で……ひとり過ごす日曜の午後は
静か過ぎて……
少々欠伸が出る……
聖也何してるのかな?
メッセくらい入れてみようかな……
そう言えばアイツ!
日曜の午後は大抵……
クラブの練習が終わった後
この部屋に来て
「引きこもりのお前のダイエットを手伝ってやる」って言って
私の蔵書を読みながら
私のお菓子を食い散らかしてた!!
そんなヤツにメッセ?!
ないないない!あり得ない!!
小町とデートしてるかもしれないし
だとしたら
小町をほったらかしで、メッセをチェックする奴なんて
親友の私が許さない!!
それよっか、
このあいだアイツの手が触れた
1ページ1ページ調べていくと
お菓子の粉らしき物体が付着した個所を
既に3つも発見して
私の
4冊目に差し掛かって三分の一くらい来たところでページをめくった私の目に飛び込んで来たのは
クニャ!クニャ!
と縮れた
1本の
毛!!
インモー!!???
怒りの風船は大きく爆発し
私はスマホをタップし
怒鳴り掛ける!!
「私の本に何、挟み込んでんのよぉ!!!!」
『ええ??』
「すっとぼけんな!!!!」
『何が?!』
「インモーよ!!イ・ン・モ・ウ!!」
『それ、お前のじゃないの。悪いけど今取り込み中だから切るぜ』
ツーツーという発信音に取り残された私は地団駄を踏む。
「ふさげやがって!!インモー野郎が!!」
トントントンとリズミカルに階段を昇る音がしてドアがガチャ!!と開く。
「母親だからって!娘の部屋を開ける時はノックくらいしてよ!!」
“リヴァエレ BL抱き枕”を抱えて憮然としている私にお母さんはスマホに大写しされてる画像を突きつけた。
「これ 時恵……聖也くんのお母さんから!! アンタ!聖也くんに何言ったの?!!」
『大スクープ!!』のキャプション付きで
迷惑そうな聖也と
「ああ……私の親友の小町が……気の毒にも『インモー野郎』と付き合ってるって話でしょ!」
「『インモー野郎』??」
「聖也のヤツ! 私の
「だってそうじゃん!」
「えええ???」
「何言っての! 私がアンタのインモーをどれだけ掃除してると思ってるの! あちこちにぽろぽろと……」
「それ!私じゃないもん! きっとお父さんかお母さん」
「それは違うね! 見れば分かる! アンタと違ってお母さんは違いが判るオンナなの! それにこの子……小町ちゃん? 可愛い子ね 親の欲目で毒された目で見ても……残念ながら小町ちゃんの方が上だわ! アンタ! どうするの?!」
「どうもこうもないわよ! 私には関係ない!!」
そう言い切って、私は“リヴァイ様側”をギューっと抱きしめる。
そんな私にお母さんは肩を竦める。
「やれやれ!こうやってインモーとジトジトをまき散らす腐女子の娘の面倒をみるのはホント辛いわ! 残念だけど……時恵さんには『ウチの娘は早々に“白旗”を上げました』って返信しておく」と部屋を出て行った。
怒りの感情が抜けて
ぽっかり開いた心の穴から寂しさと悲しみがジワジワ滲み出して来る。
いつしか私は“エレン様”側に顔を突っ伏して、肩を震わせていた。
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