第3話

その3/契約条件



高校2年の結衣は、夕食後、試験勉強のため、気合いを入れて机に向かっていた。

しかし、ほどなくパソコンを開いて、このとろこハマっている都市伝説のサイトにアクセスしていた。


「なんだこりゃ。フェロモンむんむんの人、この世の泥船から抜けだしませんかって?」


食い入るようにパソコンのディスプレイに向かい、ふんふんと頷きながら、もはや試験前夜の状況ではない。


...




結衣の頭に入った内容は、概ね以下の通りだ。


1、この世に嫌気がさした人が、ある契約を交わすと、痛みや苦しみがなく”消える”ことが出来る。


2、契約締結の資格は、まず、若い女性であること。代価はいわゆる”フェロモン”。その他、総合的に適用条件に合致すること。


3、契約の相手は、長身の黒いスーツをまとった若い女。もちろんこの世のものではなく、魔物。通称リカ。


4、契約締結がなされた場合、当該契約申込者は、白い”獄落”行きバスのバス停に立っている”白日夢”をみる。


5、もし契約後、この世から”消える”ことを翻意した場合、違約条項に基づき、天上獄で、立ちんぼの刑に処せられる。永遠に…。


...



”なんだか、都市伝説ってのも、へんてこなのが出てきたなー”


結衣は、ここで頭を切り替えて、朝4時まで苦手な英語の問題集と格闘した。






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