太陽は眩しい
【後は宜しくね】
仲良く暮らすスーリヤとサンジュニャー。
だが、時が経つにつれ──
「うう……眩しい……。もう……目が限界……。」
太陽神の妻は、夫の輝きに耐えられなくなる。
「チャーヤー!チャーヤーはどこ!?」
「はい、ここに。」
侍女のチャーヤーがすぐに現れる。
「貴女にお願いするわ。」
「はい、何なりとお申し付け下さい。」
主に従う事。
それが侍女の使命なのだ。
「え!?奥様何を!?」
突然服を脱ぎ出したサンジュニャー。
チャーヤーの目の前ですっぽんぽんになった。
訳が分からず茫然とするチャーヤー。
「これあげる。」
脱いだ衣服を手渡して。
茫然としているチャーヤーの両肩をぽんぽん叩く。
「後は宜しくね。」
うふっと笑ったサンジュニャーは、晴れ晴れとした顔で裸のまま外へと飛び出した。
茫然としたままのチャーヤーの目には、牝馬に変身したサンジュニャーが映っていた。
「奥様……楽しそう……。」
ジャンプしながら軽快に走る一頭の馬。
微笑んで眺めていたチャーヤーだが、その馬が森の中に入った事で焦りだす。
「お、奥様!?どちらへ──ってまさか!」
手渡された衣服。
彼女が残した言葉。
その意味を理解したチャーヤーは真っ青になる。
「じ、冗談でしょ!?そんなこと私に出来るはず──」
「サンジュニャー、部屋にいるか?」
びくぅ!
ノックと共に聞こえたスーリヤの声。
飛び跳ねたチャーヤーは右往左往する。
(そうだ居留守!やり過ごしちゃえ!)
息をひそめようとしたチャーヤーだが、そんな時に限って物音を立ててしまう。
「サンジュニャー?入るぞ?」
ひいぃぃぃ!
こうなったら仕方ない。
意を決したチャーヤーは目にもとまらぬ速さで服を着替えた。
「なぜ返事をしないのだ?」
ドアを開け、首を傾げるスーリヤ。
彼を迎えたのは、サンジュニャーの服を着たチャーヤー。
彼女はにっこり微笑み、スーリヤを迎え入れた。
「ごめんなさい、外の風に当たっていたものですから……。」
「そうか、それなら良かった。具合でも悪くしてるのかと心配したぞ。」
安心したスーリヤがチャーヤーの額に口づける。
「大丈夫ですよ。それより何か急用でも?」
「いや、お前が暇してるなら散歩でもと思ってな。」
「あら、デートのお誘いですか?」
くすくす笑うチャーヤーに、元々赤い顔を更に赤くして答えるスーリヤ。
「嫌ならいい……。」
「もちろん行きますわ。夫の誘いを断るなんて出来ませんもの。」
そして二人は手を取り合って散歩に出掛けた。
スーリヤは気づいていない。
彼女がチャーヤーだとは気づいていなかった。
チャーヤーとは『影』という意味を持つ名。
彼女はサンジュニャーの影武者でもあるのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます