@ten1003

怠惰な春

桜蘂降る春一番。桃色に装飾される舞台装置。

その美しさには目もくれず、茶色に染め行く私達はまさに灯台下暗し。

そんな粗相に気付くわけもなく立夏を迎える。

太陽が顔を出し、カーテンを突き抜ける紫外線は、かすかな温もりと共に私を包み込む。

「春眠暁を覚えず」なんてよく言ったものだ。

都合の良い言葉で自分を丸め込み、今日もひとつ謝罪の言葉を添え、罪悪感など忘れて目を瞑ることにする。


そんな私を春は許してくれるはずがない。







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