おじいちゃん猫を飼う⁉️女スナイパー東北出張編
夕哉圭シロー
第1話 それって昭和じゃない。
久しぶりにこの駅を降りた。幅が3メートル位しかない狭いプラットフォームを歩きながら改札を出てすぐ踏切を渡り、右側を進んだら線路沿の自転車置き場が見えた。この道懐かしいなぁと思いながらみかんは歩みを進めていった。5分位歩くとおじいちゃんの家に着いた。ちょうど一週間前にママからおじいちゃんが猫を飼い始めたことを聞いた。おばあちゃんが亡くなって一年が過ぎたので大丈夫かなと心配していたのでちょうどいい機会だと思い訪問することにした。事前に連絡していたのでおじいちゃんは笑顔で出迎えてくれた。
玄関を入るとすぐにプラスティックのケースに新聞紙が敷かれ、その上に砂がまかれていた。みかんはまさかと思いながら居間の方へ進んで行った。
『おじいちゃん、久しぶりだね、元気にしてた?』
『元気じゃったよ。みかんもすっかり大人になったのお。』と会話をしていると白い小さなネコがみかんの足元に寄って来た。
『おじいちゃん、この子すごい可愛いね。ネコを飼い出したって聞いたから見に来たの。名前は何て言うの。』
『ああ、この子はクールビューティーじゃ。長いからクールって呼んでる。』
『この子クールって名前なの、かっ、かっこいいね。』
(まさか、クールビューティーって。てっきり、シロとかたまとかイメージしちゃってたよ。)
『もう一匹は、今外に散歩中じゃがそろそろ帰ってくる頃じゃな。』
『えっ、もう一匹って。2匹飼ってるの?』
『そうじゃ、もう一匹はセカイノハテって名で長いからセカイって呼んでおるよ。』
『せっ、世界の果て?和風な名前なのかな。。。』
(何か壮大な名前ね。おじいちゃんアパレル関係で働いてたからかな、いちいちこっちの想像を超えてくるよね。)
『あっ、そうだ。ちょっと聞きたいんだけど、玄関にあった砂って日よっとして。。』
『ああ、あれは猫のトイレじゃよ。』
『おじいちゃん、今はねネコ砂っていって吸水性が良くて匂いもしにくいペレット状のものがあるの。ちなみに餌は何をあげてるの?』
『決まっとるじゃろ、ネコには猫まんまじゃよ。』
『猫まんま?』
『ごはんにみそ汁をかけたやつじゃ。』
『おっ、おじいちゃんダメだよ!ネコには人と同じ食べ物だと塩分が多すぎるよ。
それと、飼ってるネコは外に出しちゃダメなの。』
『どうしてじゃ?』
『病気になったり、車にひかれたり、それとネコどうしで喧嘩してケガするリスクがあるから出しちゃダメなの、今の飼い方は。』
『そうなのか。昔は、ネコは自由に家の外に出入りするもんじゃったんだがな。』
みかんは、おじいちゃんにスマホで現代のネコ飼育動画を見せた。おじいちゃんは、素直に動画を見ながら少し悲しそうな顔で
『この子達の為にも、昔の飼い方をじゃ長生きできないんじゃな。』とつぶやいた。
その後、みかんも週一回のペースで訪問しクールとセカイのお世話を手伝った。
2か月が過ぎ、みかんもだんだん忙しくなり行けない日々がつづいた。
さらに1か月後、ママからおじいちゃんが秋田に引っ越したことを聞かされた。
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