六 桜に芽吹く百合の花
「
「ああ。自分じゃ差し方が
「なるほど、もちろんです」
(父上のやり方は下手だったのか)
公的な典医より私的な姫君の方が良いとは
まだ薄っすらと
生気を感じない、というよりかは、あまりに濁りすぎていて、とうてい
(
それでも、患者の
「痛くはないですか」
「平気、あまり動かなかったから粉も舞っていない。ただ、眼の奥のなにかが妙で妙でしかたない」
(網膜に違和感を感じるだけか)
失明させたくはない。
医がきくのは、患者の口から
誰よりも
「これからも《眼薬》で良いですか」
「そうだね、そうする」
ワレモノを手にとるように、そっと
◇
同じ
病を訴えた
「……
「そもそも、貴女の父上が女御になれという命に、私は逆らいたかった。
《
後宮へと向かわさせれば、后妃にはなれるであろう。運が良ければ、天子の寵妃になれるかもしれない。そうしたら、家の名が
だから姫君は行け、と。
昔から、
そのときも、片時も離れず傍にいたのが、
物陰に
それなのになぜ、愛しき
耐えかねて、結局、病臥を
死ねば、
「そうすれば──」
「どうして、死ななければならないのですか」
はっと、
《
「っ──!!
「そう。ちかごろは自分でも、本当に人間なのだろうか、本当は
口が
「それで、どうして貴女たちは、死ななければならないのですか」
「《
「もう私は
淡々としすぎている
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