獣人の、ダリアさん。

 夜になりました。

 明日も移動があるし、今日はもう寝ることにします。

 多分感覚的には、夜9時とか10時くらいで、地球居た時はまだまだ寝てるような時間じゃないけど、異世界に来てからはもう眠くなってくる時間になってる。

 沢山外で日に当たってるから、生活習慣的なのが整ってる証拠かな?


 今はテントの中で寝る準備をしてます。まぁ、準備中といっても、毛布をストレージから出すくらいだけど…。

 ダリアさんは、自分の分の寝袋を広げてて、バーベナさんは焚き火の所で魔法を使って遊んでる。


「やっぱりバーベナの寝袋使って寝たら?」


 ダリアさんが私に寝袋で寝るよう進めてきた。


「でも、バーベナさん帰ってくるじゃないですか。」

「そうだけど…」

「ふふっ、毛布で大丈夫ですよ。」


 私がそう言うと、ダリアさんが心配そうな顔をしてくれた。けど、使うつもりがない私を見て、結局は折れてくれたみたいで、「そうですか。」と一言言って、諦めてくれた。


「それじゃあ寝ますよ。」


 そう言うと、寝るために帽子取ってランタンの近くに行く。


 その様子を何気なく見てたけど、帽子を取った所で、気づいた。

 ん!?…これは…


「角!?」


 ダリアさんの頭。帽子を取った事によって露になった。

 そこに有ったのは、動物の角。それも、羊に生えてるような、螺旋状に曲がった角が生えていた。


「ええっ…?なに?」


 急な私の大声にびっくりしたダリアさんの肩が、反射的に跳ねた。


「見して下さい!」

「いや、触らして下さい!!」


 馬車で聞いたときにしたイメージとは違って、ケモ耳が生えてる訳じゃなかったけど、羊の角も良いなぁ…かわいい。


「えっと…そんなこと、初めて言われた。」

「そうなんですか?」


 こんなにかわいいのに!

 それに、羊耳なんて最高じゃないですか!隠しちゃうなんて勿体無い…。


「獣人は差別されること…多いからね。」


 あっ…そっか…。やっぱりそうなんだ…。

 私みたいな異世界人?転生者だとそんな偏見とかないだろうけど、そんな人は珍しいのかな?


「あの…触る?」


 大きく一呼吸入れてから、ダリアさんが頭をこっちに向けて言った。


「えっ…いいんてすか!?」


 恐る恐るダリアさんの角に触れてみる。


 暖かい。

 角って暖かいんだ。それに、もっとザラザラしてると思ってたけど、思ったよりもスベスベしてるんだぁ…。


「かわいい。」


 ふと溢れた言葉に、ダリアさんの顔が少し赤くなった。


「ほらっ!もう寝るよ。」


 これは…。ごまかしかな?

 なんだ、この可愛い生き物は…普段丁寧そうな感じなのに、慌ててるとこんな感じなんだ…。


「ははっ…そうですね。」

「おやすみなさい。」

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