居酒屋雑談界隈

赤井 朝日

第1話「なんのために生きるのか」

なぁ、俺らってなんのために生きてるんだろなぁ?」

「なんだよ、急に気持ち悪いな、もう酔ったのか?」

「質問に質問で返すなよ。それに、飲みの醍醐味だろ、こーゆー話。」

「大学生の飲みってのは、こう、もっと恋愛について話したり、日ごろの愚痴を言いあったりしたりするもんなんじゃないか…?」

「俺はそーゆー奴が嫌いだ、少なからずそーゆーやつがいるから世界平和が実現しないんだ!」

「やっぱお前酔ってるんだよ。すみませーん!お水くださーい!」

喧噪の奥の方からはーーい!と返事が聞こえてくる。どこの卓に運ぶとかわかってるのだろうか。

「で?」

「ん?「で?」ってなんだよ。」

「だから、何のために生きてるんだって話だよ、もう忘れたのか?」

「あぁ、まだ言ってるのか。」

「こんな重要な話もそうないだろ!」

「まぁ、俺にとっては…」

「失礼します、お水でーす!」

「あ、ありがとうございます。」

話を遮るように水をドンと置いた女の子は忙しない様子で立ち去って行った。

「ほら、水飲め。」

「まだ話の途中だろ。」

「そーか、明日しんどくなっても知らないからな。」

「で?」

「俺にとっては、逆だと思う。」

「逆?お前話聞いてたのか?」

「だから、何のために生きてるのか、というよりは、生きるために何をするのか、だと思うんだよ。」

「そりゃ、息して飯食って寝てりゃ生きれるだろ。」

「そーじゃなくでだな…それだけじゃ生きてるとは言わないだろ。特に俺らみたいな身分の者はさぁ。」

自分も酔っているな、と思った。

少し口角が上がっている。楽しくなっている自分がいた。

「特に俺らってなんだよ。」

「んー、世の大学生、かなぁ。くくるとしたら。」

「お、大学生を敵に回すか。お前も大学生のくせに。」

「だからこそだよ。」

「俺らって暇だろ。ただ、なーなーで過ごしてたら、それって生きてるって言えるのか?」

「でも別に大学生に限った話でもないだろ。」

「そうかもしれないけれど、俺らは日々を生きるのにそこまで必死じゃないだろ?こんな話できるくらいに。」

「まぁ、それはそうだ。」

「だから、この世で本当に意味で生きるために何をするのかを考えていかなきゃいけないんじゃねぇの?」

「キリスト教的だな、お前。」

「そうなのか。」

「いや、てきとー。」

「お前はどうなんだよ。」

「俺は…それを知るためだと思う。」

「矛盾してないか?」

「そーゆーもんだろ、人間。」

「お前の方がよっぽどキリスト教的だぞ。」

「そーか、俺はそんなとこまでたどり着いていたか…」

「別にキリストがそんな風に言ったかは知らんぞ。」

「なんだよ。」

「それに、お前のそれは辛くないか?」

「矛盾あってこそだろ?

 それにわかってたら前に聞かねぇよ!」

「そーか…そーゆーもんか…」

「まだ飲むか?」

「あー、次の話題を思いついたらな。」

「酒好きだな、相変わらず。」

「酒はついでみたいなもんだよ。」

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