第34話
「メルさん、良くやりました!」
「ぐっ」
「え、そういう反応なの!?」
「「私たち〜、共犯ですから(だもん)」」
「あぁ……俺は最初から堕ちる予定なのね?」
どうやら俺は最初からメルに堕とされる前提だったようだ。
まあ、事実そうなってしまったのだから仕方ない。
「両親にはもう手紙を出したけど、流石に会いに行くって訳にも行かないよなぁ……」
「そうですわね」
「一人で行ってもいいけどちょっと不安」
流石に婚約の挨拶をメル1人に任せるのは論外だ。
絶対に俺も行くが学園がある状態ではまとまった休みを取るのはもう暫く無理だ。
夏の長期休暇にでも挨拶に行くとしよう。
とりあえずメルはエミエラの隣の部屋を使うらしく無駄に大きい屋敷がついに役にたった。
「エミエラちゃん、夜這いの作戦を立てる」
「わ、分かりましたわ」
「メル?」
「安心して欲しい、大丈夫」
とても、とても心配だ!!
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
気を取り直して学園だ。
長らく顔を出せていなかったがシュナベル先生に挨拶に行かなくてはならない。
それに魔道具もそろそろできた頃合いなのではないだろうか。
「失礼しまぶへぇッ!?」
「カイルくん!! お話があります!!」
「はい……」
まあ、こうなるとは思っていたがシュナベル先生のたわわが俺の目の前に……姉妹なのにこの格差。
俺がそんなことを考えている間にもずっともう少し早く言ってくれたらとか絶対に幸せにしないと怒るからと何度も釘を刺された。
「メルをよろしくね?」
「もちろんです」
「あのぉ〜」
「あぁ! ごめんミュリエさん、約束の物は出来てるかな?」
「はい、性能テストも済んだものがこちらになります」
「ミュリエちゃんこの1ヶ月で本当に成長したんだからね?」
「そうみたいですね……もう俺より上手いんじゃないですか?」
「そ、そんな事ないです、まだまだ失敗作が出来てしまいますし簡単なものしか出来ませんから」
「十分ですよ、この調子で頑張ってください、これが約束の金貨4枚です」
「あ、ありがとうございます!!」
4枚の金貨をギュッと握りしめて笑うミュリエさんはきっとこれからも錬金術を頑張ってくれるだろう。
さて、次の依頼を考えないとな……
「あ、そういえば魔力ポーションって錬金術で作るんでしたよね?」
「そうだけどどうしたの? あんまり練習にならないよ?」
「いえ、ミュリエさんのお小遣い稼ぎとして月50個まで買い取ろうと思いまして」
「本当ですか!?」
魔力ポーションは1個銀貨1枚程度で取引される。
学食が1食銅貨5枚なのを考えると1日3食学食を食べても2ヶ月半は食いっぱぐれない計算になる。
あまり贔屓する訳にはいかないのであくまでほかの依頼がない時の繋ぎ程度にしかならないが下手に冒険者をするよりは稼げるだろう。
「どうして、カイル様は私に良くしてくださるのですか?」
「ん〜、女の子には優しくっていうのを信条にしてるからかな」
助ければ助けるだけ祝福を貰えるなんて言えない……
可愛かったから助けようと思ったなんてもっと言えない!!
「カイルくんってたらしだよね、うちの妹も婚約者にしちゃうし」
「失礼ですね、俺は普通ですから」
「はいはーい、せっかく久しぶりに会った妹から男の話をされると寝とるれた気分だよ〜、チラチラ」
「メルはちょー可愛いですよ」
「でしょ!! いやぁ、カイルくんは良いね!! 分かってる!!」
メルも結構シスコンなところがあるけどこの人の方がシスコン指数が高い。
「っていうか、メルと婚約するなら私はカイルくんのお姉ちゃんだね」
「あっ」
「お姉ちゃんって読んでみようね、カイルくん」
「……」
断固として拒否しよう。
なし崩しでお姉ちゃんなんて呼んだ日には限界化したシュナベル先生に揉みくちゃにされるのが目に見えてる。
「カイルくぅん」
「……」
「逃げても無駄だよ?」
もう少し後ろに下がれば勝機は見える!!
もう少しだけ、もう少しで俺の勝ち筋を手が捕まえられる位置まで……
「……シュナベルお姉ちゃん」
「あわわ、カイルくん、私がお姉ちゃんだよぉぉぉ!!」
「せいっ」
「きゃっ」
「すまん、ミュリエさん、このお礼は必ず」
「ふぇぇ!?」
俺の勝機とはそれ即ち身代わり作戦である。
後ろで立っていたミュリエちゃんを身代わりにして俺は部屋からの脱出に成功したのだ。
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俺が貰ったチートスキルが「女難の相」なんですが ヤスミ @minonononon
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