第24話 魔道具に興味のある女の子

「そこをなんとかぁぁ」


「無理なものは無理ですから……」


 シュナーべ先生はコミュ障風の登場をしておきながら今ではポンコツお姉さんになってしまった。

 こっちの方が親しみやすいし可愛いのでこのままで居てもらいたい。


「あのぉ、その本を予約しているのは私、なんですけど」


「カイルくん! 確保して! 逃がしちゃダメよ!」


「シュナーべ先生、落ち着いてください図書館ですから静かにしてくださいよ」


「あ……ごめんなさい」


 予約していた女の子は同じ1年生らしく胸元にはCクラスの校章が着いている。

 前髪で顔が隠れているが青い髪の隙間から見えるエメラルド色の目が磨けば光るぞと訴えかけてくる。


「えっと、初めまして俺はカイル」


「わ、私はミュリエっていいます」


「よろしく、ミュリエさん」


「よろしくお願いします」


「ミュリエさんは魔道具に興味があるの?」


「は、はい、戦わずにお金もそこそこ稼げると聞いてもしかしたら自分にもできるかもと……」


 確かに色々と敷居の高い魔道具ではあるが高級品で需要もそこそこあるので戦わずに稼げる職業としてはかなり上位では無いだろうか。

 しかし、問題はミュリエさんが魔法が使えるのかどうかだ。


「ミュリエさんはなんの魔法が得意なんですか?」


「えっと、火、水、土、風の4属性です」


「っ!? ミュリエさん、魔法なら私が教えれる魔道具も私が教えれる、どう? 私たちと一緒に魔道具を作りましょう?」


「わ、私でよければ……私でもできるんでしょうか?」


 周りに全属性に適性があったり、3属性、4属性なんてのがウロウロしているせいで忘れがちだが2属性あれば十分。

 3属性は才能があると言われるレベル、4属性は宮廷魔法士を目指すレベル、全属性はおとぎ話の類いだ。

 まあ、適性がなくとも使えはするのだが適正ありの魔法使いに勝つのはまず無理といわれている。


「じゃあ、これ借りていきます! ミュリエちゃん行きましょう」


「あぁ、シュナーべ先生強引すぎです! ミュリエさんこれ予約してた本ね、良かったら選択授業で魔道具を選んでみない?」


「あ、ありがとうございます……見学してもいいですか?」


「もちろん、シュナーべ先生行きますよ」


「流石カイルくんだね〜」



 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



「こ、こうですか?」


「カイルくん……この子、天才よ」


「凄いですね、魔力操作が俺より上手いかも」


「そ、そんなことないですよ」


 ミュリエさんは予想より遥かに才能があり。

 魔力操作が俺と同等かそれ以上だった。

 繊細な魔力操作とイメージがしっかりしているのか温水が出る水筒を簡単に作り出した。

 俺がやると2割くらいの確率で水だけが出たり火が飛び出たりするのだがミュリエさんは完璧にやってのけた。


「カイルくん、こっち来て」


「なんです?」


「どうしてもミュリエちゃんを錬金術に沼らせたいの作戦はない?」


「……何もしなくてもハマりそうですけどね、ほら」


 ミュリエさんは俺たちを気にすることなく俺が渡した本を夢中で読み進めている。

 お金のためと言っていたしこの上達速度ならすぐに商品に出来るものが作れるようになるのではないだろうか。


「あ、あの、魔道具を売るにはどうしたら良いんでしょうか」


「商業ギルドで登録すれば売ることは可能だけど露店だとまず無理ね、平民じゃ魔道具を買うほどのお金を出さないわ」


 そうか、魔道具は買い手が見つからなくて苦労するんだったな……

 せっかくの才能もあるし、無理にお金を稼ぐために冒険者なんてしたら危ないしな。

 ここはひとつ自分が作ろうと思っていたものを任せてみよう。


「そう……ですか」


「うーん、じゃあ、ミュリエさんに冷却機能付きの水筒を30個依頼しても良いですか?」


「カイルくん、30個も何に使うの?」


「うちの兵士にあげようかと思いましてそろそろ夏ですし必要になるかなと、相場ってどれくらいですか?」


「冷却機能のみだと30個で金貨3枚くらいかしら」


 金貨3枚か。

 これからの期待も込めて1枚上乗せしておこう。


「じゃあ、ミュリエさん金貨4枚で買い取るので1ヶ月後までにお願いします」


「流石に色を付けすぎよカイルくん」


「そ、そうですよ、3枚でも多いのに……」


「勉強と魔道具に集中出来る環境をと思いまして、良い魔道具を作れる人になってくれれば俺にも利益がありますから投資です」


 俺は魔道具には無限の可能性があると考えている。

 複雑になればなるほど難しい魔道具。

 魔道具の問題は高いということや作り手が少ないということ魔道具を作れる人材を囲い込むことが出来ればもっと可能性が広がるだろう。


「ということでお願いしますね、ミュリエさん」


「ひゃ、ひゃい!?」



 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 長らく失踪していて申し訳ございませんでした。

 言い訳をするなら部活が忙しく、シャドーバースに魅入られていたからなのですが……


 また投稿を再開するので♡、フォロー、☆で俺のやる気を支えてくださると嬉しいです。






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