第4話 "メスガキヒロイン" 出現
今は帰りのホームルーム。
今日は転校初日で『ヒロインランキング』について知る事ができた。
山君という友達もできて個人的には順調な滑り出しだ。
今日はこのまま家に帰ってゆっくり休もう。
と、思っていたのだが……。
「今日の放課後、このプリントを理科準備室に運んでおいて欲しいのだが誰に頼もうか……」
担任の先生はそう言うと、大量のプリントを教卓に置いた。
担任の先生の担当科目は理科。
あの大量のプリントも理科の授業で使うのだろうか。
それはさておき、先生は僕たちを見回して口を開く。
「よし、これは紫電にお願いしよう!」
「えっ」
「紫電は今日が初登校だからな。理科準備室の場所を覚えるためにもお前にお願いする!理科準備室の場所は誰かに聞いておけ。じゃあみんな、気をつけて帰れよ」
先生はそう言い教室を去った。
帰りのホームルームが終わり、他の生徒も席を立ち、教室を出て行ったり部活の準備をしたりして放課後となった。
めんどくさいなー。
でも、頼まれたからにはやらないといけないし……。
僕が落ち込んでいると……。
「紫電君!僕が手伝いますよ!」
「山君!」
山君が僕に声をかけてくれた。
やはり持つべきものは友達だ。
僕と山君は教卓に置かれたプリントを半分ずつ持ち、教室を出る。
てか、プリント多すぎだろ。
二人でもギリギリだぞ……。
と、思いながら僕は廊下を歩いていた。
「山君、わざわざごめんね」
「構いませんよ!僕たちは友達ですから!」
「山君……」
なんていい人なんだ。
僕が山君の言葉に感動していた次の瞬間……。
ビュービュー。
開いている廊下の窓から突風が吹き出した。
「あっ!プリントが!!」
急な突風に僕と山君が持っていたプリントが大量に舞った。
「山君、大丈夫?」
僕が声をかけた瞬間だった。
「うわっ!!」
山君が声を上げた。
山君は地面に散らばったプリントを踏んでしまい、滑って体勢を崩してしまったようだ。
そして体勢を崩した山君は僕の方へ寄り掛かり……。
ドンッ!!
僕と山君はぶつかってお互いに尻もちをついた。
手に持っていたプリントは全て散らばってしまった。
辺り一面プリントまみれだ。
「痛てて……山君大丈夫?」
「はい……。何とか……」
「ついてないな……」
僕がそう呟いた瞬間……。
「あははははw ちょーウケるんですけどww センパイ達ダサすぎて草www ざぁこ♡ざぁこ♡」
「は?」
背後から女子の声がして振り向くと、そこには赤い髪をサイドテールにした背の低い女子生徒が立っていた。
何だこの子は……。
女子生徒は口元に手を当て、クスクスと笑いながら口を開く。
「センパイ達、めっちゃ陰キャって感じの顔と雰囲気ですねw プリントなんかに敗北しちゃってざこすぎるんですけどwww さすが陰キャって感じww 生きてて恥ずかしくないんですかぁ?ざぁこ♡ざぁこ♡」
なんだこのメスガキムーブは。
めっちゃ腹立つんだが……。
女子生徒は歩き出し、床に散らばったプリントを無視して僕たちを追い越した。
そして振り向き……。
「じゃーね陰キャのセンパイ達ww ざぁこ♡」
女子生徒は最後にそう言ってこの場を去った。
……。
…………。
「なんだあのメスガキは。めっちゃ先輩の事を舐めてるな……。てか何で先輩って分かったんだ?」
僕はそう呟いた。
一方、山君は女子生徒の後ろ姿を見ながらボソッと呟く。
「た、助かる……。メスガキ助かる」
「は?何言ってんの山君。あんなメスガキムーブで助かっちゃダメだよ!てかあのメスガキなに?山君は何か知ってる?」
僕の言葉に山君は反応する。
「彼女はヒロインランキング第8位の "メスガキヒロイン"
「あのメスガキがヒロインランキングに入っているだと!?しかも8位!?僕たちの事を先輩って言ってたしまだ一年生だよな?」
「そうです。まだ入学して半年も経っていません。しかし、彼女の圧倒的なメスガキムーブにより助かってしまう男子生徒が続出し、瞬く間にヒロインランキング入りを果たしたのです!」
「ま、まじかよ……」
あんなメスガキがヒロインランキングに入っているとは……。
「あ、ちなみにさっき紫電君が言っていた、何で僕たちの事が先輩か分かったのか…って事についてですけど、各学年で制服のネクタイの色が違うので見分けられます。一年生は青色で、二年生が赤色、三年生は緑色です」
「そ、そうだったんだ……。でも今はそんな事よりあのメスガキの事しか考えられないや」
"メスガキヒロイン" ……。
この学校にはとんでもない奴がいるんだな。
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