第2話 "妹ヒロイン" 降臨
『ヒロインランキング』か……。
この学校には凄いものがあるんだな……。
僕は山君に『ヒロインランキング』について教えてもらった。
「ところで紫電君。お昼はどうします?」
そういえば今はお昼休みだった。
購買に行こうとしてたんだ。
「購買に行ってパンでも買おうかと」
「それなら僕が案内しますよ!僕も購買行こうと思ってたんで!」
「ほんとに?ありがとう!」
山君が購買まで案内してくれる事になった。
僕と山君は購買へ行こうと教室を出た。
その瞬間……。
「あ!見つけた!私のお兄ちゃん!」
「へ?」
桃色の髪をツインテールにした美少女がいきなり声をかけてきた。
いきなりお兄ちゃんと言われた僕は変な声を出してしまった。
「伊吹お兄ちゃんだよね?私、
「は……?お兄ちゃん?どういう事?」
いきなり見知らぬ美少女からお兄ちゃんと言われた。
どういう事だ?
まさか僕に生き別れの妹がいたのか?
桃園さんは一体何者なんだ?
僕が戸惑っていると桃園さんは山君にも声をかける。
「優吾お兄ちゃん!元気だった?」
「うん!もちろん元気でしたよ!桜花はいい子にしてましたか?」
「うん!私いい子にしてたよ!だからご褒美に優吾お兄ちゃんに頭撫でてほしいな!」
「全く〜しょうがないですね〜」
「えへへ〜。優吾お兄ちゃんの手、おっきくて安心する〜」
……………………。
………。
なにこれ?
山君と桃園さんの意味の分からないやり取りが僕の視界に映り込んでいる。
僕は山君に声をかけた。
「や、山君、これどういう事?」
「桃園さんはこの学校の全生徒の妹なんですよ」
「マジで意味が分からないんだけど」
僕が困惑していると桃園さんがこちらを振り向く。
「伊吹お兄ちゃん!私は今日転校してきた新しいお兄ちゃんに挨拶するために来たんだよ」
「えっと……」
本当に意味が分からない。
なんだよ全生徒の妹って。
まあ、悪い子ではなさそうだけど……。
「今日からよろしくね!伊吹お兄ちゃん!」
「う、うん。よろしく……」
桃園さんは僕に満面の笑みを見せると、この場を去った。
「……。山君、説明してくれ」
「まあそうなりますよね。いいでしょう、説明します。彼女はヒロインランキング第7位の "妹ヒロイン 桃園桜花" です。ヒロイン力は4300です」
「桃園さんもヒロインランキングに入ってるのか。それに "妹ヒロイン" ……。理解はできたけど、何で全生徒の妹なんだ?」
そう。さっき山君は桃園さんの事を全生徒の妹と言った。
僕はその言葉に引っ掛かっていた。
「桃園さんは一人っ子で兄姉がいません。ずっと一人で育った彼女は兄や姉に強い憧れを抱きました。そこで考えたのが、この学校の全生徒の妹となる事で、他の生徒を兄や姉にしたのです」
「他の生徒を兄や姉にした……じゃねーよ。なんだよそれ。めちゃくちゃすぎるだろ」
「確かにそう思われても仕方ありません。ですが桃園さんはこの学校でもかなりの人気があります!だからヒロインランキングにも入っているんです!」
「なるほど……。確かに一部の男子生徒からは人気でそうだな……」
「そうなんです!ちなみに僕も桃園さんの事を妹のように慕っています!僕は桃園さん……いえ、桜花の兄ですからね!妹のためならこの命……惜しくは無い!!」
「そーですかい。てか、全生徒の妹って……この学校、とんでもない数の生徒がいるだろ」
そう。この白帝高校は都内でも有数のマンモス高だ。
「確かに、ここ白帝高校にはとんでもない数の生徒がいます。ですが、ここが桜花の凄いところ!なんと全生徒の顔と名前を完全に把握してるんです!」
「マジか……。確かにそれはすごいな」
「そうでしょ?だから桜花は凄いんです!そして何より可愛い!可愛いのは顔だけじゃなく性格も可愛くて、この前なんか」
山君が桃園さんの事をひたすら語り出したので、適当に聞き流した。
"妹ヒロイン" の桃園桜花か……。
この学校にはまだまだ最強ヒロイン達がいそうだな。
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