最近面白かったお話

きるか

最近面白かったお話1

 最近うちの学校にヨーロッパの方から留学生が来た。


 彼は、まあそれはもう筋骨隆々・容姿端麗・日本語ちょっと話せる「theイケメン外国人」だった。校長先生がリモート集会で初めて紹介したとき、うちのクラスの女子が数名惚れた女の顔しており、



「『初戦』は顔なのか」


(「所詮」と、「人は顔の基準をクリアしないと次にいけないこと」を掛け合わせた低レベルのギャグ)



と情けなくも思ってしまった。少なくとも俺はそんな顔されたこともない。悔しい。モテたい。


 その後、数日間空いて、うちのクラスの女子が彼のことを多分忘れた頃、紆余曲折あって自分たちのクラスの授業に参加した。


 間近で見ると、色白で、染めたわけでないきわめて自然な、地毛であることが一目でわかる金髪、端正な顔立ち、半そでのTシャツに密着しているあほみたいに太い二の腕、さらに身長も178、いや、下手したら180行ってて、


「ああ、負けた」


と、負けん気の強い自分でもすんなり敗北を受け入れてしまうほど、彼は完璧だった。



 そんな敗北宣言を思わず口にしてしまった自分だが、友達になりたいという極めて実現不可能に近い願望を持っていたため、一応挨拶と軽い会話はした。


 その時に、かなり強めのハイタッチと握手を組み合わせた(インターネットでよくある"Hey,bro!!"みたいなやつ)、をしたのだが、その時に、「ぺちゃ」っと音が聞こえた。


 手汗だ。手掌多汗症なんてもんじゃない。彼の手は水源だ。と思った。


 まあそんなこと自分はまったく気にしないので普通に握手しながら色々話すことができた。彼の手はおっきかったです。えへへ。



 その授業はグループワークだったのですが、彼は僕と別のグループに案内されていた。彼と同じグループの女子がメスの顔になっていた。


 その後彼は何を思ったのか、おもむろに周りを見渡し、的確にうちのクラスの陽キャを指さし、あだ名をつけていった。判断基準はたぶん、顔がだれに似てるかだと思う。知らんけど。



 そこで、事件は起きた。


 彼は別の班の、顔は留学生の方を向いてる少し日焼けした陽キャを指さし、俺の方をを向いて言い放った。








___________________________"Oh! !"____________________________








 もうそれはそれははっきりとした日本語で、クラス全体、果てには視察のために教室にいるすべての先生の耳に聞こえる声量で言ったのだ。

 日本の、黒歴史を。インターネットの奥底に、埋めておくべき、彼の通称を。



 刹那、クラスは死んだ。



 もちろんこのクラスには女子生徒もいる。彼女らも固まった。メスだったものも。


 その時俺らは何を考えたのだろうか。


 なぜ日本のオモチャが海外にいるのか。どうして日本で収容できなかったのか。なぜ彼がこの単語を知っているのか。彼はこの単語の本当の意味を知ってるのか。ここで指摘したら淫夢厨ってばれるな。


 俺はもう脳のcpuが焼き切れるほど考えた。そして出した結論がーーー



「笑うか」



 彼も言っていた、「笑えばいいと思うよ」俺は実行した。


 爆笑した。まさに捧腹絶倒の文字が似合うほどに、腹がよじれるほど笑った。周りも爆笑していた。笑わなかったやつもいた。顔をしかめたやつもいた。


 この笑いはただ単純に意外性から来ているものだった。今ならわかる。考える隙もなく笑っていたと。


 彼とは仲良くなれそうだが、ただ単純に会う機会が少ないなと思った。


fin.

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