第3章:What happens when Thubame dresses up as a woman?
天井から柔らかな光が差し込む、白く輝く建物。
そこは『天室』と呼ばれる、あの世における天使たちの拠点。
そこで用事を済ませたサクラとツバメは、静かに出口へと歩き始めた。
「天室ってなんだか、空気が澄んでますね」
ツバメが小声で呟く。
その声にはわずかに緊張がにじんでいた。
「初めて来ると緊張するよね。でも、すぐ慣れるし大丈夫だよ」とサクラは微笑んだ。
「あっ…さーちゃんやん!ひっさしぶり〜〜!」
元気いっぱいな声が天室に響いた。
振り向くと、ベーシックなシャツとスカートに身を包み、短めのおかっぱ頭が特徴的な女性が手を振っている。
彼女の名はヒカリ。
サクラの同期にして親友である。
「ヒカリ!久しぶり。そっちの調子はどう?」
「まあまあ?最近ちょいトラブったけど、今は絶好調やで〜」
「こっちもまずまずって感じかな」
「おっ…さーちゃん、そっちの子は誰なん??」
サクラの後ろで小さく身をすくめていたツバメに、ヒカリは興味津々の目を向けた。
「あの、ボクはツバメです…」
ツバメは一瞬戸惑ったが、小さく答える。
「ツバメちゃんね!私はヒカリって言うねん。よろしくな〜」
「よ、よろしくお願いします…」
彼女は目を細め、ツバメをじっと見つめた後、突然叫んだ。
「それにしても…かわいいっ!!ラブリーやん!天室史上、最高クラスの萌えっ子や〜!!」
「ちょ、ちょっと…。ボクは男ですっ」
「『男の娘』ってやつ!?それ最高!!ええやん、素材は完璧やし、私がもっと可愛くなれるようにメイクしてあげる〜♡」
「えっ、えぇ!?ボク、そういう趣味とかじゃないですから〜〜!!」
ヒカリはどこからともなく取り出したメイク道具と地雷系ファッション一式を手に、彼に迫った。
数十分後。
「ど、どうしてボクがこんなことに……!!」
ツバメは肩を震わせ、羞恥で顔を真っ赤にしていた。
彼はレースとフリルに包まれ、黒とピンクの絶妙なコントラストを纏っており、頭にはリボン、瞼にはキラキラと光るシャドウがついている。
いわゆる『地雷系』ってやつだ。
「いや〜完璧やでこれ!さーちゃん、見て見て!このアイメイク、まじ神〜〜☆」
「だーかーらーボクは男なんですっ!」
ヒカリは満足げにスマホを構えて、シャッターを連打し始めた。
「し、写真!?サクラ先輩も、見てないで助けてくださいよ〜!」
「大丈夫。バッチリ似合ってる!」
だめだこりゃ…。
「ほな次、ちょいウインクしてみよか〜?あ、ちょっと涙袋足すね〜。はい、チーズ☆」
「あぁ〜恥ずかしい!今すぐ元の格好に戻りたい〜!」
その後、写真が天室全体に流出し、そのまま流行したのはまた別の話。
「つーちゃん、よかったやん!これがハッピーエンドってやつやで」
「違う!全然違う!!ボクは男なんですっっ!!!」
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