第27話 西の噂 その2

「師匠プールってあれだろ学校を出て西の所にあるやつ」


「そうです、体育でプールの授業が去年から廃止されたので僕たちは行ったことありませんね」


「夏しかプールに入れないしそもそも今は水泳部しか使えないもんな」


「そうですね、この機会は貴重ですね」


「それで西の噂はプールに死んだ霊がいるってだよな」


「そうです、プールで命を落とした霊が呪縛霊となって生徒たちに被害を加えていると言われています」


 俊の情報では水泳部ではプールの水を浴びて体を清めてから入る用にしてるらしい。


「具体的にはどんな被害がある教えてくれ碧」


「泳いでいたら足を引っ張られ沈められた、プールで急に波に襲われた、衣服の消失などです」


「被害者は書いてあるか」


「書いてないですね」


「そうか」


 直接被害にあった人と話してみたかったけど書いてないのか。俊なら一人くらいは知ってそうだけどな。


「その霊について詳しく教えてくれ」


「ここに二十年前の新聞が切り抜かれて貼ってありますね当時のものでしょうか」


 この新聞二十年前の割にはきれいだ。俊が印刷し直したのかな。


「新聞によると一人の男子生徒が事故で亡くなったらしいですよ」


「新聞になるってことはプールで事故があったのは本当の話らしいな」


「事故とは限りませんよ錬、呪縛霊ならそこに何か未練があるはずです」


「つまり碧はこれが事故として処理されたが本当は誰かに殺された、それが未練となって呪縛霊になったと」


「そうです、仮に霊というものが存在する場合ですけどね」


「響はどう思う」


「まずこれが霊の仕業でないと仮定する」


 本当に幽霊がやってたとかだと俺には手に負えない、その時は霊媒師でも呼んぼう。


「それはそうですよこの世に幽霊なんて居ません」


「俺はいると思うけどな」


 幽霊のいるいない論争はしなくていいんだよ。


「大きく二つの可能性に分けられる、自然現象か人工的な現象か」


「自然現象ならそれが起こる原因の解明、人工的によるものならなぜそんなことをしたのかを考えなければいけませんね」


「俺は下着泥棒が盗み過ぎて、噂になった説を押すぜ」


 何をふざけたことを言ってるとはいえないんだよな。これは一部で流れてる説で俺も少し考えたが足を引っ張られるのと、波に襲われるのは説明がつかないのとそれ以外考えても何も生まないのでやめた。



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底花高校の七不思議 サト @310-0924

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