第14話 人払い
「決まりっすね、じゃあ部室に戻ってみんなにも共有するっす」
「待ってくれ俊」
部室に向おうとした俊を俺は引き止めた。
「どうしたんすか」
「今回は俺たち二人でやろう」
「なんでっすか」
「あの三人は部室でテストに向けて勉強中だ、今話たら絶対に食い付いてテストどころじゃなくなる」
俺と俊は成績がいいがあの三人は、勉強ができるわけではない、なんなら碧と錬は一年生のころ赤点を取ったことがある。
「確かにそうっすね、じゃあ話はテストが終わってからに」
「それはだめだ」
「なんでっすか」
「それはだな」
「はいっす」
「見てみたくはないか俺たちだけで謎を解き明かし三人の悔しがる姿が」
「見たいっす!」
うん俊なら百パーセント乗ってくると思った。
「ひどいな君たち」
「たださすがに可哀想だから、テストが終わってまだ分からなかったら三人にも情報を共有しよう」
「それはそうっすね、じゃあ部室戻るっすよ」
「俺は君たち二人が怖いよ」
そうして俺たちは部室へと戻ってきた。
「おかえり〜シューちゃん」
「ただいまっす」
「何の話をしてたんだ」
まぁ当然の疑問だよな、明らかに怪しすぎるもん。
「実は、ここにいる獅王さんに俺と俊が勉強を教えることになった」
「そうなんですか」
「そこで調査部もテストに向けて勉強に集中して欲しいということで部活を中止して早く家に帰ることにしようと思う」
この学校にはテストが近いから部活を休みというルールはない。学校側は勉強はやりたい人は勝手にやっててというスタンスである。
「なるほど、確かに二年生になって内容も難しくなりましたし良いんじゃないでしょうか」
ちなみに俺は一年生のテストしか知らないが内容は全くとはいえないが難しくはない、部活に力を入れている分勉強は基礎基本さえ抑えておけばある程度の点数は取れるような難易度設定になっている。
「え〜シューちゃんと会えないの〜」
「いつも教室で会ってるじゃないすか」
「でも〜」
「いい点を取れたらご褒美をあげるっすよ」
「ほんと〜なになに〜」
「それは後でのお楽しみっす」
「わかった〜私頑張るわよ〜」
最近俊は明澄の扱い方上手くなってるな。
「錬もそれでいいか」
「俺は別に構わないぞ、響こそ人に教えてる余裕があるのか」
「あぁ俺は一夜漬けでなんとかなるならな」
「チッこの天才が」
「勉強を才能だと思ってる時点で既に負けてるよ」
まぁこんなこと簡単に言えるような人は才能を持ってる側の人だろうな。ちなみに俺は自分が天才だなんて自惚れては居ない錬を煽るためだ。
「なんだと見てろよ、絶対に響よりいい点を取ってやるからな」
ほらな錬はすぐにムキになるから。錬にやる気を出させるにはこれが一番だな。
「それじゃあ俺たちはここで勉強をするから三人は早く帰れよ、それとテストが終わるまではここ使うから入らないでね」
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