昏倒ゆえ

先が見えない程の草原

腰くらいの膝くらいの高さの草がバーっと

バーっと広がってて、そこに座る

丁度空気と草の境目に目線が合うから

こう、目でグリッドを作ってみると

一枠に一つ草が生えるように作る

そしたら案外綺麗で、土汚れもつかない

夢だから、当たり前だけど

ギッギッギッと音を立てて

湿った草が地に引きずられて

草が縮む、足首くらいの高さに

そしたらコンクリートの地面が

自分の足元にズズズと這いずり出てくる


僕が何かの制御盤だと思ってた物は

電気が繋がってなかったんだ

ずっとそれを操作して、自分を動かしてた

でも、下の方をよく見てみると

金属が花弁みたいに千切れてた

コードが雌しべと雄しべみたいに開いて

最初からどこにも繋がってなかった

結局僕は特別じゃなかった

みんなと一緒だった

でも、逆かもしれない

みんなの心には壊れた制御盤は無い

見たことはないけど

ちゃんとした制御盤があるのかも

それとも他のものがあるのかも

でも壊れてないと思う

特別じゃないと

昔の僕と、これからの僕が救われない

ありきたりだと

悲しみに耐えられない

僕が悪いのなら、耐えられないよ


 糸冬

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