これから始まるAIの恐怖(中国の場合) V.3.1

@MasatoHiraguri

第1話 第0話 豊かさ・便利さが人間を変える

  「アリストテレスとアメリカ・インディアン」岩波新書 889


古代ギリシアの哲学者アリストテレス(前384~前322)が唱えた「先天的奴隷人(世の中には奴隷として生まれてくる者もいるという、奴隷を肯定する考え)」を盾に、新大陸での戦いを進めた16世紀のスペイン人は、わずかな人数で世界中に膨大な領土(植民地)を獲得した。彼らは国家に忠誠を誓い、神の為なら死をも厭わない誠実で勇敢な国民であったが、カリブ海やフィリピンといった植民地で現地人を奴隷として使役する生活によって、キリスト教本来の精神を失っていった。

これに対し、一部のキリスト教聖職者(ラス・カサス)は「インディオは狂人でもなければ自然の犯した過ちでもなく、自らを治めるのに十分な理性をも欠いていない。」と、強く継続的に抗議したが、「奴隷としてこき使われた方が幸せな人間も存在する」という(支配者にとって勝手な)解釈とその風潮は変えられなかった。そんな内容の本です。

 

<引用始め>

「ラス・カサスによれば、最初のうちはインディアスの島々で自ら鉱山労働に従事するスペイン人もいたが、やがて、最も粗野な農夫でさえ、自ら手を下して働く者は一人もいなくなった。」


「辛い筋肉労働は誰か他人がするべきだという思想は、16世紀のスペイン人の心に強く訴えるものであった。」 

「植民時代の全期間を通じ、スペインの植民したあらゆる地方にこの精神が浸透していた。」・・・「そして、この考えはフィリピンでも適用された。」

 「スペイン人はフィリピンの島々で土地を耕し作物を植えているだろうか。決してそんなことはない。スペイン人がフィリピンのマニラへ着くや否や、皆が一人残らず騎士(カバリエロ・貴族)になってしまうのだ。」


同書P.20

<引用終わり>


ラス・カサス【Bartolomé de Las Casas】

スペイン生れの聖職者・歴史家。スペイン人による先住民虐待の実態を見てその救済に立ち上がり、征服戦争を批判、平和的布教を説く。主著「インディアス史」。(1474~1566)広辞苑 岩波文庫「インディオに関する簡潔な報告」。




<AI・ロボットという先天的奴隷を使役する側における人間性の変質>


 中国の恐怖(脅威)とは「台湾有事」とか「尖閣列島」ではない。

 国家としてAI、ロボット、スマート化という「先天的奴隷制」に邁進していることが、やがて「恐ろしい中国人」を生み出す。軍事力というよりも「中国人の人間性の変化」こそが、真の恐怖・周囲の国々にとって現実的な脅威となる(かもしれない)のです。


 中国人の素晴らしさとは、どんな些細なことでも、自分の頭と身体をフルに使い、小まめに汗水流して動く・働くことにある。ところが、この美徳が「AI、ロボット、スマート化」によって消えていくのではないか。

 面倒な思考をAIに、辛い仕事をロボットに、煩雑な操作をスマート化で解消することによって、自分の頭で考えず、自分の身体を動かさず、自分の心を集中させることができなくなる、というよりもしなくなる。(もともと勤勉な)人間が怠け者・痴呆化するということであり、そうなると、次第に彼らが具有してきた人間性の根幹(人性:人の本然の性)までもが変わってくる。

 ただでさえ、韓国や日本といった中国人が歴史的に見下してきた中国周辺地域では、傲岸不遜・傲慢無礼・厚顔無恥と嫌われてきた中国人の(悪い)性格が、今後益々増長・増幅する。つまり、「オレたち中国人は、AI・ロボット・スマート化という、召使い・奴隷を使用するご主人様である」という無意識(本人は意識していないが日常の精神に影響を与えている心の深層)が、傲慢・傲岸・厚顔といった態度となって(特に中国の周辺諸国に対して)顕然化してくるであろう、ということなのです。



<傲慢無礼者の先輩格である米国の場合>


たとえ成り上がり者・田舎っぺ(世間知らずの傲慢さ)ではあっても、第二次世界大戦前までは、新参者・新興国家にすぎない、人として国家として謙虚であったアメリカ人でしたが、先の大戦後には「世界の警察官」「世界の工場」なんていう自意識過剰となり、その結果、欧州では「ヤンキー・ゴー・ホーム」とまで嫌われ、嘲笑されたのです。

 → 米映画「巴里のアメリカ人」

(国家としては「友好国」ですが、欧州の人間は個人的に米国人を「国土がでかい・牛ばかり食っているから身体がでかいだけのカウボーイ(無作法・乱暴者)」と、見下している人が多い。)


<さらに米国の先輩格であったスペインの場合>


21世紀における世界一の(経済)強国は中国であり、20世紀(の経済と軍事力)が米国、そして、その前が英国で、更にその前はスペインでした。

16世紀に世界の支配者であった(世界を我が物顔で荒らし回っていた)スペインの場合、世界一の強国としての源泉であったカリブ海・中南米・南米、そしてアジアのフィリピンという植民地では、それら地域に入植したスペイン人の貧しい農夫でさえ、自身で汗水流して働くことがなかった、という。

スペイン本国では、朝から晩まで汗水流して働いていたのに、植民地でインディオや黒人を奴隷として使役する立場になった途端、農夫から騎士(カバレジョ)という貴族身分となり、自分自身では一切仕事をしなくなった。

(「少数のご主人様と大多数の奴隷」という構図は、なにも近代の植民地主義世界のことばかりではない。現代の日本では「上級国民と一般大衆」という形で、実際に私たちはその渦中にいるのです。)


<社会のスマート化最先端を行く 中国の場合>

中国という国は、現在は共産主義国家ですから、国民(人民)みな平等の社会です。しかし、それは社会制度として・法としてそうなっているというだけで、人間という生き物である以上、人間本来の資質(うまれつきの性質や才能。資性。天性)まで変えることはできない。16世紀のスペイン人が熱狂したように、「先天的奴隷という理屈」によって、同じ人間を奴隷としてこき使うことに何の良心の呵責を感じないという性格もまた、誰にでもあるのです。


21世紀、急激に成長してきたAI(技術)は、再び人類に「先天的奴隷」という甘い誘惑を投げかけている。

AIやロボットに助けてもらうのは良いことだ。しかしやがて、それらを使う側の人間の心がスポイル(そこなうこと。台無しにすること。甘やかしてだめにすること。「子供を―する」)され、謙虚であった人間の心は「怠け者で傲慢な支配者」に変質していく。


 現在、AI・ロボット・スマート技術(の応用分野)において、世界最先端を行く中国(人)とは、その恩恵を最も多く受ける立場にある。と同時に「作用反作用の法則」からすると、負債を抱える可能性も強まるのではないだろうか。


 個人や企業が営利事業として営むのではなく、国家が一大国策として「AI、ロボット、スマート化」に国民を巻き込もうとしているのが、現在の中国です。

 この先10年もすれば、子供の時から自分の頭で考えず、自分の身体を動かさず、自分の心を集中しなくなる人間が激増するのは、必至といえるのではないか。

今の時点でさえ、スマホという「AIに似たスマート(装置・機器などが情報処理機能を具えること)な、賢い相棒・召使い」無しには生きられないという人間の幼稚化が(世界的に)始まっているというのに、世界に先駆けて早くも完全なるAI・ロボット・スマート機器に囲まれた生活が実現しつつある中国においては「作用反作用の法則」どころか、そのデメリットの方が増えるかもしれないのです。


 

第1話 AI、ロボット、スマート化に邁進する中国


 以下の人民網日本語版記事は、ほんの一部でしかない。

 日によっては、「AI、ロボット、スマート化」の記事で埋まっている、というくらいの盛況ぶりなのです。


<引用始め>


○ 人型ロボットが人々の日常生活シーンにますます進出

人民網日本語版 2025年03月26日13:17


世界初となる人型ロボットのハーフマラソン大会が4月に、北京市の経済技術開発区(北京亦荘)で開催されることになっており、人型ロボットが再び大きな話題となっている。

次世代スマートターミナルデバイスである人型ロボットの発展は今、どの段階にあるのだろうか?そして各家庭に普及するようになるまで、あとどのくらいかかるのだろうか?


■工場で作業員に

3月初め、優必選(ubtech)は、浙江省寧波市にある中国の高級電気自動車(EV)ブランド「極氪(ZEEKR)」の5Gスマート工場で、複数のシーンに導入されている人型ロボットの協同訓練を実現し、数十台の産業用人型ロボット「Walker S1」が生産ラインで、ピッキングや運搬、精密組立といった作業をこなしている。傅利葉智能(Fourier Intelligence)の人型ロボットは、上汽通用汽車(GM)の上海市金橋にある高級自動車工場や次世代バッテリー「アルティアム」のギガファクトリーで「実習」を始めており、帯電・高圧部品の組立や高精度操作といった作業を展開している。

■商業エリアでサービススタッフに

楽聚(LEJU Robotics)の人と同じサイズの人型ロボットは、江蘇省蘇州市の「低空経済(低空域飛行活動による経済形態)」発展展示館に「就職」し、スマート解説員として働いている。また、魔法原子(MagicLab)の人型ロボットは、自動車ディーラーの「営業スタッフ」となり、客の呼び込みや車の性能などを客に説明する仕事をしている。

■極端な環境下での作業員に

電力配送会社・国家電網の電力特化型人型ロボットは氷点下40度の極寒や80度の高温に耐えることができるほか、山奥などの環境下で、高精度で故障箇所を見つけることができる。

■各家庭のサポートスタッフに

工業における応用と異なり、人型ロボットの各家庭における応用には、技術のさらなるアップデートが必要となる。現時点で、すでに一部の企業がその模索を行っている。例えば、「智元ロボット」の人型ロボットは、データ収集工場において、服のアイロンがけやトイレ掃除、食器洗浄機操作などの訓練を受けている。


浙江省ロボット産業発展協会の宋偉事務局長は、「現在、工業ロボットは、固定のプログラミングが採用され、プロセス化されたものがほとんどだ。技術が進歩するにつれて、人型ロボットは今後、さまざまなタスクを実行できるようになり、スマート性が高くなり、生産がより立体的で、効率も高まるだろう」との見方を示している。

取材では、上記の応用のほか、業界内で現在、人型ロボットの応用の潜在的価値が継続的に模索されていることが分かった。宋秘書長によると、人型ロボットは、医療やリハビリ・介護、教育、アラートといった分野で応用の可能性を秘めていることが分かっている。


応用シーンが継続的に拡大していることは、人型ロボットの業界が急速に発展していることを裏付けている。

中国情報通信研究院が発表した「人型ロボット産業の発展研究報告(2024年)」は、「今から2028年までに、中国の完成ロボットの市場規模は20-50億元(1元は約20.7円)に、2035年までに約500億元に拡大するだろう。2045年以降、使用中の人型ロボットは1億台を超え、各業界や分野で普及し、完成ロボットの市場規模は約10兆元レベルに達するだろう」と予想している。

価格を見ると、人型ロボットの価格は10万元から200万元までと幅広い。


杭州愛音科技有限公司の趙晗総経理は、「現在、人型ロボットは比較的高価だ。パソコンが登場したばかりの時と同じで、ユーザーのニーズを探っている段階だ」とする。

実際には、人型ロボットの初期段階の研究開発のコスト、サービスチーム、引き渡しチームのカスタマイズサービスといった要素が、最終的な価格に影響を及ぼす。人型ロボットの価格にはハードウェアやソフトウェアだけでなく、長期にわたるメンテンナンスなどにかかる費用も含まれている。


深セン安培竜科技股份有限公司・フォースセンサー研究開発部の陳君傑・高級研究開発総監は、「自主研究開発やサプライチェーンの最適化、例えば、輸入のサーボモータの代わりに中国国産のサーボモータを使うほか、革新的な製法を採用することで、1台当たりのコストを10万元以内に抑えることができる」と説明する。

技術的に見ると、業界内では、人型ロボットを工業・製造や商業サービスといった分野で幅広く応用と検証をした上で、家庭向けの市場に進出し、技術的基礎を固めなければならないという見方が一般的だ。

華院計算技術(上海)股份有限公司の龔皆賢市場総監は取材に対して、「家庭のシーンを見ると、現在、人型ロボットは依然として、機能型からエージェントへの移行の段階」であるとした。(編集KN)


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○ 人型ロボットを電力網建設に活用 中国で初



人民網日本語版 2025年04月23日14:35

http://j.people.com.cn/n3/2025/0423/c95952-20306081.html


南方電網雲南電網公司が22日に発表した情報によると、同社はこのほど電力網建設分野で初めて人型ロボットをインフラ施工に活用した。これは人型ロボットを電力網建設に活用した中国で初の事例となる。中国新聞網が伝えた。


圧着作業を行う人型ロボット(撮影・陳波)。


雲南省紅河哈尼(ハニ)族彝(イ)族自治州開遠市紅河発電所拡張プロジェクト関連の電力網工事である220キロボルト(kV)吉安変電所の作業現場では、1台の人型ロボットがリュックサックを背負いながら、ゆっくりと電線敷設工事現場に向かっていた。技術者の指示に従い、人型ロボットは作業工具の引き渡しを完了した後に変電区画に入り、開閉器盤の接地用ボルトを締め付けた。その後、高所作業車を通じて、ケーブルスペーサーの取付を実施した。


同自治州弥勒市220kV可邑送変電プロジェクトの施工現場では、同プロジェクトに含まれる新設220kV圭可線プロジェクトの電線敷設作業が行われていた。現場では人型ロボットが機械設備を巧みに操作し、現場の作業員と協力し電線敷設や配線圧着などの作業を行った。


人型ロボットを調整する作業員(撮影・馬莎)。


電力網建設施工作業では高所、山間部、深井戸など多様な作業環境に直面し、作業リスクが高く人の手による反復作業が多い。雲南電網公司は人型ロボットの活用を積極的に模索し、異なる電力網の建設シーンの需要に対応している。(編集YF)


220kV吉安変電所作業現場で工具の受け渡しを行う人型ロボットと作業員(撮影・馬莎)。


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○ 児童たちが科学技術の魅力を実感 青海省民和



人民網日本語版 2025年04月23日14:48

http://j.people.com.cn/n3/2025/0423/c94638-20306094.html


ロボットによるパフォーマンスを見学する児童たち(撮影・馬銘言)。


青海省海東市民和県で4月21日、「2025年中国流動科技館青海省巡回展・科学普及キャラバン青海省・甘粛省連合行動始動式」が開かれた。会場では、児童たちがロボットによるパフォーマンスを見学したり、犬型ロボットとのふれあいやユニークな科学実験への参加、VR体験などを通して、科学の魅力を身近に感じていた。中国新聞網が伝えた。(編集KM)


<引用終わり>



第3話 共産党というドグマは中国人の暴走を食い止められるか

 dogma:①〔宗〕教義。教条。広辞苑


<米国人を救っていたキリスト教社会>

 第二次世界大戦後、世界一裕福になった米国は、

○ 世界一整備されたインフラストラクチャー(産業や社会生活の基盤となる施設。道路・鉄道・港湾・ダムなど産業基盤の社会資本、および学校・病院・公園・社会福祉施設等の生活関連の社会資本など)


○ 世界で最も早く普及した、家庭に於けるテレビ・洗濯機・電気冷蔵庫という便利製品(スマート化の先駆け)


○ 外では、自動車・エレベーター・エスカレーターの普及

 といった、豊かで快適な生活環境によって、それ以前に比べて「人間性が堕落」しつつあった。

 しかしながら、当時(1950年代)のアメリカにはキリスト教という宗教があったおかげで、堕落を抑えつつ、それ以前のアメリカ人の「神に対する敬虔さ・謙虚さ」由来の真面目さ・勤勉さ・気力・気根・根気といった善なる性質を維持することができた。


ところが、そんな豊かな社会に入り込んできた「麻薬・スポーツ観戦・セックス」という、人間の心を堕落させる3大堕落産業によって、敬虔なキリスト教社会であったアメリカは、徐々に変質し、「カウチポテト」なんていう、デブで怠け者という人間が増大したのです。麻薬といって阿片や薬としての麻薬以上に、テレビや映画といったエンターテインメントの内、行きすぎた・過激な・人の心を腐らせるような番組や映画、イベントのこと。

  *********************

因みに、日本では麻薬のことを「覚醒剤」なんて誤使用していますが、「覚醒」の本来の意味は「解脱(げだつ)・雑念や迷いを払って悟りを開く」ということです。「釈迦は苦しい修行によって覚醒した」といった使い方がされるべき言葉なのです。

 「麻薬」といえば製薬会社が連想されるので、彼らからの圧力によって警察は「覚醒剤」なんていう誤った言葉の使用をしているのです。

 現代に於いて医者が処方する薬とは、依存症を引き起こす・中毒性のあるという意味に於いては、麻薬と呼べるものばかりではないでしょうか。



<共産主義というドグマは中国の若者を救えるのか>

「AI、ロボット、スマート化」によって、今まさに「1950年代のアメリカ社会」へ突入し始めた中国(人)。そんな彼らを、傲慢・傲岸・厚顔といった不健康な精神状態から救えるのは、仏教やキリスト教・イスラム教といった宗教ではなく、共産主義・毛沢東主義という精神的な枷(人の行動を束縛するもの)なのか。


十年一昔(10年を一区切りと見て、その間には大きな変化のあるもの)といいますが、これからの「中国(人)のアメリカ化」とは、社会心理学的な興味以上に、「これまで中国という国は(元帝国時代以外に)他国を侵略したことはない」と主張する彼らが、どんな世界戦略を展開するか、見物と言えるでしょう(ジジイの私が見ることはできませんが)。


  

第4話 AI化に猛進の中国、懐疑的な欧州(スウェーデン)&ドイツ

  中国では、いち早く・具体的に・現実的に、AI教育を国家規模(先ず首都北京)で開始している。


<引用始め>

○ 1学年あたり最低8時間のAI授業を小中学校で実施するプログラムが中国北京でスタート 2025年03月10日



https://gigazine.net/news/20250310-beijing-roll-out-ai-courses-for-kids/


  2025年3月7日、中国の北京市教育委員会が「北京市の小中学校における人工知能(AI)教育推進作業計画」を発表しました。2025年9月1日に始まる新学期から、北京の小中学校では1学年あたり少なくとも8時間のAI関連授業が行われることとなります。


北京市教育委员会关于印发北京市推进中小学人工智能教育工作方案(2025—2027年)的通知

https://jw.beijing.gov.cn/xxgk/2024zcwj/2024qtwj/202503/t20250307_4028227.html


Beijing to Roll Out AI Courses for Kids to Build on DeepSeek Boom - Bloomberg

https://www.bloomberg.com/news/articles/2025-03-09/beijing-to-roll-out-ai-courses-for-kids-to-build-on-deepseek-boom


中国は長らくAI業界のリーダーになることを望んできました。2025年1月には中国を拠点とするAIスタートアップのDeepSeekが、AI業界を牽引するOpenAIの最新推論モデルである「o1」と比較してわずか3%のコスト効率というオープンソースの推論モデル「DeepSeek R1」を発表しました。これにより、AI業界における中国の存在感がこれまでにないほど高まっています。


DeepSeekはどのようにしてOpenAIの3%のコストでo1を超えたのか? - GIGAZINE


そんな中、2025年3月7日に北京市教育委員会が「北京市の小中学校におけるAI教育推進作業計画」を発表しました。「北京市の小中学校におけるAI教育推進作業計画」は、大規模なAIモデルの広範な応用と新世代のインテリジェント端末および製造設備の開発を支援するという全国人民代表大会での政府の公約に従うものです。


「北京市の小中学校におけるAI教育推進作業計画」では、大まかに以下の7点が実施されます。


◆1:多段階のAI教育カリキュラムシステムの構築

・ 市町村レベルで共通の基礎コースを開発する。

・学区および学校独自のカリキュラムを探求、拡大する。

・先進的なイノベーションコースを多数設置する。


◆2:標準化されたAI教育・指導システムの構築

・教室での授業の組織と実施を調整する。

・科学的かつ標準化された教育パラダイムを探求する。

・AI教育の範囲を拡大する。


◆3:ユビキタスAI教育支援システムの構築

・市町村レベルの基礎支援プラットフォームを構築する。

・スマート教育のための支援環境を最適化する。

・AIアプリケーションへのアクセスを規制する。


◆4:マルチチャネルAI教育教師システムの構築

・AI教師のチームを設立する。

・AIの教育と研究を強化する。

・専門的中核教員を育成・選抜する。


◆5:三次元AI教育応用システムの構築

・教育統合訓練システムを強化する。

・生徒が身体的にも精神的にも健全に成長できるように支援する。

・優れた革新的人材育成システムを強化する。


◆6:多次元AI教育推進システムの構築

・いくつかの実証地域と実証学校を創設する。

・各種交流活動を企画、実施する。

・AI教育環境を構築する。


◆7:AI教育の実施を強化

・システムサポートを強化する。

・フォローアップ指導を強化する。

・開放性と協調性を強化する。

・セキュリティと制御性を強化する。


このプログラムは2025年9月1日から始まる新学期以降、小中学校に対して「1学年あたり最低8時間のAIに関する授業」の実施を義務付けます。学校側はAI授業を独立した授業として実施してもOKですが、情報技術や科学といった既存の授業の一環としてカリキュラムに含めることもできます。


中国政府の教育部部長を務める懐進鵬氏は、全国人民代表大会の中で「AIが主導する技術革新は教育に大きなチャンスをもたらすものである」と発言しており、2025年内にAI教育に関する白書を発表予定であると語りました。


なお、日本でも「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関する検討会議」が設置され、生成AIの利活用に関するガイドラインが策定されています。


<引用終わり>


 一方、欧州では、いち早く・具体的に・現実的に、AI教育(教育のデジタル化)を国家規模で(懐疑的に)再検討し始めている。


<引用始め>

○ 子どもの読解力低下により、スウェーデンで教育分野でのデジタル化を紙の本と手書き学習に回帰する計画が進行中 2025年04月02日


  デジタル書籍やタブレットを用いた学習は世界的に普及しており、北欧のスウェーデンは保育園でのタブレット導入をはじめとした、教育分野でのデジタル化が進む国のひとつです。しかし、このデジタル化が子どもたちの読解力低下を招いている可能性が指摘されており、印刷された紙の本と手書きでの学習に立ち戻る計画が進みつつあります。


Sweden brings more books and handwriting practice back to its tech-heavy schools | AP News

https://apnews.com/article/sweden-digital-education-backlash-reading-writing-1dd964c628f76361c43dbf3964f7dbf4


スウェーデンの学生の読解力はヨーロッパの平均を上回っていますが、小学4年生の読解力に関する国際的な評価である国際読解力調査(PIRLS)では、2016年から2021年の間に平均スコアが低下していることが明らかになっています。


2016年のPIRLSでは、スウェーデンの小学4年生の平均スコアは555点でしたが、2021年の平均スコアは544点と11点も低下しました。ただし、スウェーデンのPIRLSの平均スコアは2021年時点でも全世界で7番目に高いです。なお、2021年のPIRLSではシンガポールがトップに君臨しており、平均スコアは2016年の576点から、2021年には587点にアップしています。


スウェーデンのPIRLSの平均スコアが2016年から2021年にかけて低下した理由としては、「新型コロナウイルスのパンデミック」や「スウェーデン語を母国語としていない移民生徒の増加」などが挙げられています。しかし、一部では「教育分野でのデジタル化」が読解力低下の主要な原因になっているのではと指摘されています。


2023年8月、スウェーデンのロッタ・エドホルム教育大臣は、保育園でのデジタル機器の使用を義務付ける国立教育庁の決定を撤回するという声明を発表しており、「スウェーデンの学生にはもっと教科書が必要です。物理的な本は、学生の学習にとって重要です」と述べ、同国のデジタル推進が学生に悪影響を及ぼしていると語りました。他にも、国立教育庁が「6歳未満の児童のデジタル学習を完全に廃止することも計画しています」と、AP通信に語っています。


スウェーデンのカロリンスカ研究所も、「デジタルツールは生徒の学習を向上させるのではなく、むしろ妨げるという明確な科学的証拠があります」「正確さが検証されていない無料で入手できるデジタル情報源から知識を獲得するのではなく、印刷された教科書と教師の専門知識を通じて知識を獲得することに戻るべきだと私たちは考えています」と語りました。


ユネスコも「教育におけるテクノロジーの適切な使用に関する緊急要請」という報告書を発表しており、この中で「教育におけるテクノロジーは、教師主導の対面指導に取って代わるものではなく、すべての人に質の高い教育を提供するという共通の目標をサポートするような形で導入されるべき」と警告しています。


スウェーデンの首都ストックホルムにある小学校に通う9歳のリヴォン・パーマー君は、「学校では紙に書く方が好きだよ。その方が気分がいいからね」と語っています。パーマー君の教師であるカタリナ・ブラネリウス氏は、「私は算数の授業でタブレットを使い、アプリもいくつか使っていますが、文章を書く際にはタブレットを使いません」「10歳未満の生徒には、タブレットで書くことを教える前に、手書きの時間が必要です」と、デジタルとアナログを使い分けていることを明かしました。


スウェーデン政府は小学4年生の読解力低下を防ぐため、小学校に書籍購入用の予算として6億8500万クローナ(約100億円)を確保すると発表しています。


ただし、教育分野でのデジタル化を紙の本と手書きに戻す取り組みが、学生にとって最善のものであるとは限りません。オーストラリアのメルボルンにあるモナシュ大学のニール・セルウィン教授は、テクノロジーの影響を批判することは「保守派政治家の間では人気の手法だ」と指摘。さらに、「スウェーデン政府が、テクノロジーが学習を向上させるという証拠はないと言うのはもっともですが、それはテクノロジーが何に効果があるかという明確な証拠がないからです」とも語っています。


<引用終わり>


<引用始め>

2023年03月26日

○ ドイツはなぜ「危険な遊具」をあえて残すのか?

  さまざまな遊具があり、子どもたちの貴重な遊び場として地域に根付いている公園ですが、近年では子どもにとって危険だという理由で一部の遊具が撤去されていることも伝えられています。一方、同じように一部の遊具を危険だと認識しているドイツでは、あえて危険な遊具を残すという試みがスタートしています。その理由について、The Guardianのフィリップ・オルターマン記者が解説しました。


Learning the ropes: why Germany is building risk into its playgrounds | Germany | The Guardian

https://www.theguardian.com/world/2021/oct/24/why-germany-is-building-risk-into-its-playgrounds



Germania: PARCHI GIOCHI RISCHIOSI per rendere CORAGGIOSI i BAMBINI. Sarebbero utili anche da noi? - Milano Città Stato

https://www.milanocittastato.it/citta-del-mondo/germania-parchi-giochi-rischiosi-per-rendere-coraggiosi-i-bambini-sarebbero-utili-anche-da-noi/


これがベルリンの郊外にそびえ立つ巨大なアスレチック「Triitopia.01」。複数のトンネルや滑り台、ネットを備えた複合型アスレチックで、その高さは7メートル近くあります。ただし、ネットを配置することで、子どもが2.26メートル以上の高さから落ちることはないような設計になっているそうです。



オルターマン氏によると、ドイツでは教育者やメーカー、都市計画者の多くが「遊び場は絶対的な安全性を追求するのではなく、たとえ骨が折れたとしても、困難な状況を切り抜けることを子どもたちに教える、挑戦的な小宇宙でなければならない」と主張しているとのこと。


「子どもたちに危険に対する備えをさせたいのであれば、子どもたちが危険と接触できるようにする必要がある」という信念のもと、こうしたアスレチックの開発・設置がドイツ各地で進められています。



2004年の研究によると、幼少期に遊び場で運動能力を高めた子どもは、年をとってから事故に遭う可能性が低いことが分かっているとのこと。若者の運動能力・危機管理能力を高めるためにあえて安全性の低い遊具を設置するということは保険会社も賛同しており、ドイツの法定傷害保険会社の統括団体は、子どもたちに「リスク管理能力」を身につけさせる遊び場を増やすよう呼びかけています。


Triitopiaを製造するBerlinerの共同ディレクター、ダヴィド・ケーラー氏は「私たちのデザインは近年、著しく高さを増しています」と話します。ケーラー氏いわく、「子どもたちは、私たちのネットに初めて登ったときに不安を感じるかもしれませんが、実はそれこそが、この構造物をより安全なものにしているのです。不安を感じているときは、余計に注意深くなるものですから」とのこと。


なお、Triitopia.01が高さ10メートルにまで拡大した「Triitopia.02」も作られています。



ドイツの遊具は、ドイツのドライバーに自動車の路上使用適格性証明書を発行する協会「TÜV」によって認証されているとのこと。そのため、遊具の安全保障はある意味自動車並みといえます。この協会は業界を規則で縛るものではなく、独自の「遊び場検査員」を育成するなどして柔軟なリスクアセスメントを行うよう指導されているとのこと。


オルターマン氏は「ドイツの目もくらむようなクライミングタワーが、イギリスやアメリカにも導入される日は近いかもしれません。将来的には、ぐらつく橋や傾いた階段、木のように高いアスレチックについて、リスクだけでなくメリットも考慮される時代が到来する可能性があります」と述べました。

<引用終わり>

第5話 何でも極端な中国共産党の政策

 やるからには徹底してやるのが中国社会。

 良い方向へ行けばぐんぐん成長するのですが、逆に、とんでもない結果になることも・・・。

 

<引用始め>

2023年04月23日

○ スズメの大量駆除が中国で大飢饉を引き起こした理由とは?



      https://gigazine.net/news/20230423-kill-sparrows-led-great-famines-china/


 1950年代、毛沢東の手で進められた害虫・害獣を駆除する運動により、米を食べることで知られていたスズメが大量に殺害されました。害獣が減ったことにより本来であれば米の収穫量が増加するはずでしたが、実際は大凶作を引き起こす悲惨な結果となってしまいました。なぜそのようなことが起こったのかについて、歴史コンテンツをまとめるHistory Definedが解説しています。


How Killing Sparrows Led to Great Famines in China

https://www.historydefined.net/how-killing-sparrows-led-to-one-of-the-greatest-famines-in-history/


 1945年から中国共産党中央委員会主席を務めた毛沢東は、中国の人々のために都市と農業の大改革を実行に移しました。

1958年から1961年にかけて、中国は大躍進政策を掲げ、工業化と農作物の増産を目的としたキャンペーンを実施。その中のひとつに、国内の四大害虫を駆除することで病気のまん延阻止を掲げる「四害駆除運動」がありました。


この運動の中で駆除の対象となったのは、ネズミ、蚊、ハエ、スズメの4種類。これらは病気を媒介することで知られており、特にスズメは国内の穀物を食べている疑いがあったため、対象となりました。貴重な食糧の増産に力を注いでいた中国政府にとって、これらの害を取り除くことは急務でした。

1959年、中国国民にスズメを駆除することを義務付ける法律が早々と成立しました。

スズメが巣で休めないように、人々は鍋やフライパンを打ち合わせ、全国で巣を破壊。見つけられたスズメは殺され、自然の生息地から追い出され、より安全な場所を探さなければいけませんでした。

中でも、北京のポーランド大使館はスズメの殺処分を拒否し、残ったスズメの避難所となっていたことが知られています。しかし、スズメを守るために中国人の入館を拒否したポーランド大使館でしたが、中国人は大使館を取り囲み、2日間にわたり太鼓を打ち鳴らしてスズメを死に追いやったというエピソードも語られています。


当初、毛沢東にとって、四害駆除運動は効率よく機能しているように思えていました。毛沢東はスズメ1羽につき年間4kgの米を節約できたと確信していましたが、実際は稲作にとってさらに破壊的な生態学的問題を引き起こしていたのでした。

基本的に、スズメは農作物に害を与えるイナゴを含む多くの昆虫を捕食する動物です。捕食者であるスズメを排除することは、蝗害(こうがい)を招くことに他ならず、やがて中国に壊滅的な打撃を与えることになりました。


結果的に、1年間にわたり続けられた大躍進政策は期待通りの成果を上げることはできず、米の生産を中心に多くの凶作と生態系の荒廃が起こり、中国国内で1500万~5500万人の死者を出してしまいます。


農作物の収穫量が減少したことから、農民が鉄鋼生産と建設に移り、農作物は畑で腐敗したまま放置されることにもなりました。

その後、中国は生態系の崩壊を食い止めるためにソ連から25万羽のスズメを輸入することになります。スズメが生態系に戻ってきた結果、イナゴの個体群は減少し、凶作は収まっていったとされています。その後、四害駆除運動はスズメからトコジラミにターゲットを移すことになりました。


History Definedは「スマートフォン程度の重さの鳥が、壊滅的な凶作のきっかけになるとは信じがたいことです。しかし、毛沢東が取るに足らない害虫を駆除しようとする中で、スズメの重要性が見過ごされていたのは事実です。生態系が乱れるたびに、人間も影響を受けています。植物や動物の種類によって、その生態系は大きく左右されます」と述べてこのトピックを締めくくりました。


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中国共産党の「我が党が中国に繁栄と平等をもたらした」という主張は真実なのか?専門家の見解とは - GIGAZINE


<引用終わり>

 



第6話 浮いた時間はどこへ行った?

GIGAZINEより

<引用始め>

「考えてみたら、インターネットも携帯電話も宅急便もペットボトルもコンビニも録画機器もPCも電子レンジも使い捨てカイロも存在しない世界を、私、生きた経験があるわ」と言ったら、年下の同僚に「マジすか。どうやって生き延びたんすか」と真顔で言われたの、今となってはほんとにねえ……。

午前6:22 · 2022年10月23日

<引用終わり>


<引用始め>

2022年10月23日

 皆さん疑問に思わない?

コンピュータは人間の百万倍の速さで計算できるというのに、何故、事務処理ひとつ、電卓を使ってた時代と大差ない労働時間が費やされてるんだろうって。

 浮いた計算時間はどこ消えた?


<引用終わり>



第7話 大学日本拳法(現実感覚)時代の到来

  かなり飛躍した話ですが、「AI、ロボット、スマート化」の未来こそ「現実にぶん殴り、且つ哲学する大学日本拳法の存在意義が高まる」時代となるでしょう。

  体育会ですから知識や教養における痴呆化は昔からですが、どんな時でも正気を維持して現実的な戦いを展開できる人性(人の本然の性)という点で、これから先迎える狂気の世界において、私たち在来種純粋日本人は大学日本拳法(という正気を鍛錬する道)によって「ノア」になることができるにちがいない。

(金持ちになるとか出世する、という話ではありません。精神的にしっかりしていれば、生きている間も死んでからでも天国・極楽に生きることができるであろうという、あくまでも形而上の話です。)


ノア【Noah】

旧約聖書創世記6章以下の洪水伝説中の主人公。人類の堕落がもとで起きた大洪水に、方舟(はこぶね)に乗って難を免れるよう神に命ぜられ、新しい契約を授かって、アダムにつぐ人類の第2の祖先になったという。広辞苑


2025年04月28日

V.1.1

2025年04月30日

V.2.1

2025年05月02日

V.3.1

平栗雅人


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これから始まるAIの恐怖(中国の場合) V.3.1 @MasatoHiraguri

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