第3話 分岐 ラストその2

バンッとドアを閉じる。完璧に積まれた段ボールを乗せて、車を発車させる。

新居までは車で1時間もかからない。そのうち運転も慣れて、身体の疲れもとれてきた。


「て.て.てっ、テトリーて.て.てっ、テトリーー」

車内なのを良いことに大声で歌っている間に新居に着く。雲間から青空が見え出している。


さぁ、ここで新しい生活だ。車から降りた私は新居のドアに向かう。


あれ?

鍵はどこだっけ? 


記憶がグルグル回る。

身体はゆっくり動く。


大事だから別にしておいた。

今は使わないから、別にしておいた。


あの箱。

あの箱は、テトリスの隙間にピッタリ入った。


一番最初の、一番奥の、一番下の隙間に。

ピッタリだった。


あぁ…つんだ。

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つみつみ やってみる @yasosima91

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