【あとがき】 願いを紡ぐ手のひらに

気づけば、四季をめぐり、二十四の物語を編み上げる旅になりました。


はじまりは、たったひとつの思いでした。

――「文様に込められた小さな願いを、物語にしたい。」


日本の伝統文様には、ひとつひとつに意味があります。

長寿を願う松、健やかな成長を祈る麻の葉、未来へ向かう青海波――

それらは、誰かが誰かを想い、

見えない未来にそっと手渡した、温かい祈りそのものでした。


この物語たちは、

大きな奇跡ではありません。

小さな出会い、小さな成長、小さな決意。

けれど、それらこそが、

人が生きる上でのかけがえのない「宝物」だと、私は信じています。



文様は、時代が移り変わっても、静かにそこにあります。

まるで、目に見えないけれど、確かに続いていく心の道しるべのように。


今、あなたの手のひらにも、

きっと、目には見えないけれど、

小さな文様が刻まれていることでしょう。


それは、あなたがこれまで歩いてきた道であり、

これから歩いていく未来への、そっと結ばれた願い。


どうか、迷ったときには、

ふとこの物語たちを思い出してください。


そして、そっと微笑んでいただけたなら、

これ以上の喜びはありません。



最後に――

この物語に出会ってくださった、すべての方へ。


心からの感謝と、

未来へのあたたかな祈りを込めて。

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文様綺譚 二十四景(もんようきたん にじゅうよんけい) Algo Lighter アルゴライター @Algo_Lighter

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