蓮と月桃の約束

毛 盛明

序章 蓮と月桃の始まりの知らせ

プロローグ ―潮風に揺れる約束―


遥か昔、琉球の蒼き海と福建の大地を結ぶ風があった。

その風が運んだのは、異国の香りとともに、新たな縁の兆しだった。


運天十愛は、琉球の岸辺に佇み、波音を耳に刻んでいた。

その眼差しは深く、潮騒の中に未来への祈りを秘めている。

その日、海の向こうから来た使節団の中に、李・景琳という若き旅人がいた。


景琳の瞳は、蓮の花が静かに咲く水面のように澄んでいた。

二人は言葉を超えて、互いの心の奥に響くものを感じ取った。

それは、血脈を超え、時を超える「約束」の始まりであった。


「風は遠くから来て、遠くへ還る。だが、この約束だけは、永遠にこの地に根ざそう。」

十愛の言葉に、景琳は静かに頷いた。


月桃の花が風に揺れ、蓮の葉に朝露が煌めく。

二つの家系の未来を紡ぐ、そのひとときは、やがて数百年の時を越え、深い愛と絆となって実を結ぶ。


悠久の海と大地が見守る中、運天と李の物語はゆっくりと動き始めた。

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