職場の個人面談
第1話
男「君、中川君のこと嫌いだろ?」
女「いや、そんなことないですよ」
男「中川って言葉を聞いた途端、口元が若干引きつってたぞ」
女「先輩、思春期の女子ぐらい観察眼が鋭いですね。多分、お姉ちゃんいるでしょ」
男「ああいる。で、どうして中川君のどこが嫌いなんだ」
女「嘘つきだからです」
男「嘘つき?」
女「中川君、沖縄出身なのに東京出身って嘘ついてるんです」
男「面接の時に見た履歴書は、全部東京の学校出身って書いてあったぞ」
女「嘘ですね。同郷にしかわからない微妙な訛りとワードセンスがあります。そして、それを巧みな話術で補っている節がある」
男「なぜそんなことをする必要がある?」
女「彼が指名手配犯だからですよ」
男「指名手配犯の誰だ」
女「女性を4人殺害した
男「顔が全然違うじゃないか」
女「そりゃ、指名手配犯なら整形ぐらいしますよ」
男「沖縄出身なのを東京出身と偽ってただけで指名手配犯呼ばわりはどうかと思うぞ」
女「先輩、整形しても変わらない部分ってどこだか分かりますか?」
男「さあ? 眼球とかか?」
女「耳です。中川君と伊佐川の耳の形そっくりじゃありませんか?」
男「……うーん、そうか? 人間の耳って大体こんな形じゃないか?」
女「すみません。断定的な情報で中川君を指名手配犯だと決めつけて嫌うのはダメですよね。社会人としてあるまじき行為ですよね」
男「ああそうだな」
女「あと、最後に一ついいですか?」
男「ああいいぞ」
女「今の話とは全然関係ない話なんですけど……中川君と付き合った職場の女性3人がその後すぐに仕事をやめて連絡がつかなくなっていて、しかも3人とも行方不明届が出ています」
職場の個人面談 @hanashiro_himeka
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