全然致命傷

@yayoi_yui

第1話

心因性の嘔吐が収まらない。


午後8時から10時。


その時間になると、決まって吐き気が襲ってくる。


丁度夕食と重なる時間帯。


出されたものを完食しきれず、その後出してしまう失礼極まりない行為。


本当に情けなくなる。なんで、どうしてこんなことに。


間違った選択ではなかった。と信じているし、何度考えてみても間違っていなかった。


でも、今こんなにも苦しいのはなぜだろうか。


自分に責任があると思い込んでいるのではないか。この苦しみは、自分の中から生み出されたものではないのか。


いや、きっと違うのだろう。


単純に、俺は恨んでいるのだ。


なにもかも、誰も彼もが忘れた物語を、自分だけが反芻し続けている。


それがなによりも、耐え難いのではないだろうか。


この気持ちが報われる日はない。こんなことをしていても無駄だ。


嫌なんだ。この環境も。


受け入れ、前をもう一度向いて欲しかった。


要するに、他人に期待しすぎたのだ。本当に情けない話、自分には価値があると思い込んでいた。


俺含め、全ての人間に価値などない。繋ぎ、永遠の前に儚く散る亡霊だ。


そのことを、肝心な時に忘れていた。


完敗だ。俺の負けだよ。


この後何をしようか、さっぱり見当がつかなくなってしまったではないか。


終われ、俺の人生よ。早く終わってしまえ。

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