第6話 ダンジョン事情・裏
私はダンジョンコアである。名前はなんだっけ…『#!&%)”S$=Z}K*+{』だったか、人が理解しようとすると一生かけても理解できないままか、発狂したり死んでしまうらしい。
我々は世界の瘴気を吸収して浄化して還元する浄化装置である。なので砕かれても次の瘴気の濃い場所や、カバーしにくい場所に飛ばされるのだ。
浄化とは言ってもそのまま浄化して世界を循環させるような力はない。最初はそうあれかしと作られたらしいのだが、追い付かず砕けたそうだ。
その結果調整され現在の状態になったらしい。浄化ではなく吸収させ、他の物に変換し、空間を生成したりして消費させることで世界に戻す形だ。
先日聞いた話だと、地上の魔境と呼ばれるところに出た奴は、元々地上に発生している魔物に攻め込まれて壊されたらしい。だが次の場所も魔境だったらしく、拡張などを諦めゴブリンを定期的に排出し始めたら、無限に湧き続けるえさ場として認識されて攻め込んだりされなくなったらしい。そのおかげで徐々に主変の瘴気が薄くなっているのと、瘴気不足で強すぎる瘴気の中でしか生きられない魔物は減っていき、成果自体は得られているらしいのだが暇らしく、他のコアたちに雑談を持ちかけて嫌がられているようだ。
他のコアとの直接通信も一応できるが、そちらは通信をかけられた側が、応答するかどうかは決められるので、大概は無視される。一部仲が良く頻繁に通話している者も居るらしいが、私は誰とも…おっとこれは関係ない話だった。
それとは別に、要件、内容とそれに返信を記載できる伝言板があり、専らそちらを使ってやり取りをすることが殆どだ。
要件の件数自体は確か兆を超えたあたりで数えるのをやめたが、未だ増え続けているらしい。
ダンジョンマスターと言う存在も居るがあれも悲しい存在。マスターの居ないコアに触れてしまったものは、マスターとして縛られてしまう、寿命も何も関係なくなるが、ダンジョンのために活動を強制させられる。
コアの研究をしようとして、鑑定をかけようとして死した奴の仲間が、結局判らずに触ってしまって据えられることが多いと聞く。
マスターになるとすべてが判るのだが、ダンジョン外部へは、伝えられないようになってしまう。
一部のダンジョンマスターは、それでもなんとか伝えようと工夫を凝らしているみたいだけど、うまくはいってないみたいだ。
マスターの付いたダンジョンコアは、マスターの話ばかり伝えてくるので隔離されている。これは他のマスター同士がつながって、知恵を出し合うことを防ぐためらしい。ダンジョンの正体がばれる事の防止と、世界から意志あるものが全ていなくなることの防止もあるらしい。知識としてはそういう体になっているが、実際にはマスターとの惚気話がうざいので何とかしたいと、マスターを持たない者たちが考えたところ、伝言板のようなものに検索機能やフィルタ機能が何時の間にやら実装していた。
世界の根幹にかかわる話だが、そもそも瘴気は負の感情と魔力が融合して発生するが、意志あるものはそもそも瘴気がどうして発生するかが理解できていない。
ん、あれ?マスターさん何か用ですか、ええ、実体化しろと球と話してるt、気が滅入ると、ゴーレムでアバターを作ったからそっちから声出して動けと。仕方ないですね。
「それでマスター、何故少年形状の
「いやあ、ほらね私結婚もできず研究一辺倒で子供も産めなかったからさせめて子供を持った母親の気分を味わいたいというか寂しくて仕方なく…」
このマスターは大丈夫なんだろうか、息継ぎなしで一気に言い切った結果チアノーゼ起こして顔紫にしてかひゅかひゅ言ってるんですが…まあ不老不死だから死なないでしょうが復活してからにしましょう。
ああそうだ、このへっぽこ特殊性癖マスターは、元は魔力とは何か、瘴気とはなぜ発生するかを研究していた学者様なんだけど、同じ研究をしていた連中より数歩先に行くほど賢かったんだ。そのせいで行き詰っていた時に他の連中にダンジョンが関係するのではと言われ、調べてみようとして嵌められた。当時発生したてだった、小さな僕のダンジョンのコアに、後ろから押されてぶつかったんだ。そしてマスターになって、マスター誕生時はそれ以外のダンジョンのコアルームにいた者は強制で吸収される。それである意味は救われたけど、マスターになったことで理解して、その結果外に発表できなくて悲しんだ。そこまでは良かったけど、マスターに成れば、ダンジョンを管理し、改造できるわけで、その時の考えを正気かと疑ったね。
この人は最初に、一階層部分を半分以上を土に埋もれさせたうえで地上に出したんだ天井と周囲は入口扱いにして無しでね。
そしてそこに横の丘らしき場所の一部が雨で流されて、遺跡の一部が現れた風に作った都市を埋め込んで、建物一部は露出させてゴブリンを配置した。めったに人が来ないような場所のダンジョンだから、見つかるまでは魔物に襲われはするので、減っていくので地上のゴブリンはリポップさせて、人に見つかったらそれ以降はリポップを止めた。
あとはまあ、遺跡が見つかったとなれば人が来て、発掘が進む。
地上部分が全部あらわになれば建物より大分下までの土は普通に掘って持って行けるドロップ設定でリポップもしないため、最終的には昔の遺跡風の都市が現れる。
別階層への移動階段も土で全部埋まっているため、発掘しなければ使えないダンジョンの完成だった。
まぁ余りに辺鄙で魔物もそこそこ多かったから、人がまともに来られるようになるまでに、数百年以上経過しちゃって、第二層を掘り当てられて、ダンジョン認定されたころには、最上位級の深度を誇るダンジョンまで成長した後なんだけどね。
ちなみにダンジョンの一層部分は未だに、本来のダンジョンの地面は出ていないんだ。吸収機能も、ポップ機能求めている。ただ外部の魔物の侵入者を防ぐ障壁機能だけは稼働させている。溜まっていく浄化ポイントの余剰を使って、あるタイミングで浄化を起動させたんだ。一段低めに設置された大聖堂の発掘が終わって、ダンジョン二層への階段の発掘が終わったタイミングで、大聖堂のトラップ(手動)を起動させて光らせて、大聖堂に付着していた汚れを全部吸収させて、大聖堂内部を明るく、浄化した空間のみで満たして維持した。そして、遺跡外周部分、ダンジョンとの境界部分に、魔物よけの障壁を展開しただけだ。
そうそうここの大聖堂には十三の神像がある、創造神とその補助神たちだ。これはちゃんと、やってもいいのかを調べ上げてやった結果できた内容で、設置されている神像自体はダンジョン保護の対象になっている。いやゆる触れられず変化したいという奴だ。神像の台座には、マスターの時代よりさらに前の時代の言語で、何の神で名前が何かを記載してある。あと、この大聖堂の入口には、マスターが当時一番お世話になっていた、出資者の名前が書かれている。サングリアと言うらしいのだが、何でもお酒関連の商売で潤った金で、研究者に金をばらまき、その成果で更に潤うを繰り返してたものらしい。
そのせいでここは現在、遺跡聖都サングリア、大聖堂はサングリア大聖堂、迷宮名はサングリア迷宮となっているらしい。
初心者向けダンジョン生存法として、伝言板で今は長生きしているコア同士で、どんどん情報を提供していっている。何でかって、長く生存しているコア程、浄化能力が成長するから、上としては全ての地上に有る瘴気の消失こそが狙いだからなんだけど。その釣り合いが取れた時点で、ダンジョンの成長はほぼ止まるんだけどね。
さてさて、僕はこの面白いマスターのへんてこな発想を楽しむ作業に戻るとするよ。え?口調が砕けてないかって?いやほら面倒だから素で行かせてもらおうとだね。
彼の書いた初心者向け~の伝言板には、このようなコメントが記されている。
『地表に一層を作ってコアルームへの階段をまず土で埋めるって、その埋める作業中に、コアルーム攻められて詰むんじゃないのか』と。
世界はなべてことも無し まとい。 @ma101
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