第6話 闇の告白
「それじゃあさっそく、力を求めた理由を聞かせていただきましょう。」
遠慮も躊躇いもなく質問を投げかけるタローに僅かな戸惑いを感じつつ、破壊神は過去を振り返って答えた。
「私が力を求めた理由……ただ、同胞であり親友、そして好敵手でもあった創造神を超えたかっただけだ。彼とは神の役目を担う以前から切磋琢磨してきたが、何をするにしても彼の方が一枚上手だった。」
破壊神は一度口を噤んだが、息を深く吸い込み、微かに白み始めた空を見上げ、肩を震わせながらも続きを語り始めた。
「だが、ある時、彼を超えたいという願望に歯止めが利かなくなり、私は破壊神としての力を暴走させてしまった。……その力によって、生物を滅びへと導き、私を止めようとした彼の命を奪ってしまったのだ……。」
後悔を滲ませる破壊神の様子を見ながら、タローは腕を組んでため息混じりに言った。
「なるほどー。ですが、私みたいに重要な役割を持たない存在ならともかく、破壊神さんは世界の均衡を保つ役割を担ってたわけでしょう?なのに相棒との連携を乱しちゃ駄目ですよー。ましてや暴走なんて……ねぇ〜。」
破壊神は少しの沈黙の後、後悔を滲ませた。
「そうだったな……私は大事なことを忘れ、己の欲望の赴くままに行動してしまった……いっそ、このまま虚無の中で朽ち果てるのも……いや、それが私にふさわしい末路なのだ……。」
その時、タローは突然魔法を使い、破壊神の目の前に泉と花壇、そして花の苗や球根、水やり用のぞうさん型じょうろを作り出した。
「はい、どうぞ。」
破壊神は突然のことに戸惑いながら、タローにその意図を問いかけた。
「タロー……これは何のつもりだ?」
タローは花の苗を植えながら答えた。
「今のあなたにとって、世界の管理は荷が重いでしょう。まずは植物を育て、慈しみ、この世界に緑を増やすところから贖罪を始めましょう。」
破壊神は、突如現れた泉と花壇、そしてタローが手にする小さな花の苗や球根に目を向けた。長い間、荒れ果てた大地しか見ていなかった彼にとって、泉のきらめきと花壇の緑はまるで別世界のように感じられた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます