第2章 やあやあどうもどうも。
第4話 邂逅
希望はおろか、その兆しも見出せないまま夜の闇を歩き続ける破壊神。
その虚ろな目に、この世界にあるはずのない民家が映った。その佇まいはまるで完成して数ヶ月と経たない日本家屋のようだった。
違和感を覚えながら立ち止まった彼は、己の罪悪感、あるいは救いへの渇望が見せた幻に過ぎない──そう思いながらも、重い足取りで再び歩き始めた。
破壊神が民家の前に辿り着いた時、窓から外を眺めていた青年が声をかける。
「おやおや。この世界には生物も植物も存在しないのかなーと諦めてましたが、ようやく出会いがありましたねー。」
破壊神はその声を聞き、目の前の光景が幻ではないことに驚きを隠せなかった。
「お前は……何者なんだ……?」
破壊神に名を尋ねられた青年は、窓から飛び出し、虚無に覆い尽くされたこの世界に似つかわしくない軽い調子で答える。
「おっと、申し遅れました。私はタローという者です。まあ、ただの旅人ですよー。で、そういうあなたは誰ですかー?」
破壊神は世界を滅ぼした罪悪感から、名乗ることを躊躇った。
「私は……創造神を死に追いやり、この世界を滅ぼしてしまった者だ……。」
途方もない時間歩き続け、虚無に染まりきった荒野に建つ民家で出会ったタローという青年。その姿はこの世界には不釣り合いで、破壊神にとっても信じがたい存在だった。だが、確かに彼はそこに立ち、自分と会話を交わしている。
「あーあー。破壊神さん、そんなに思いつめたって何も得られませんよー。得られるとしても、せいぜい同情くらいですねー。」
タローの軽い口調と辛辣な言葉が破壊神の心に僅かな刺激を与えたのかは定かではないが、彼は無言で立ち尽くしながらも、その言葉に耳を傾けていた。長きに渡る孤独の中で、こうして誰かと話す日が再び来るとは思いもしなかったのだ。
「お前はなぜ……この荒れ果てた世界にいる?ここには、何もないのだぞ……?」
タローは破壊神の問いに少し考え込む様子を見せた。
「んー……。別に大した理由じゃないんですけど、知りたいですかー?」
破壊神は、滅びた世界にタローが訪れた理由を知るべきか否か、それを知ることが自分の心に何をもたらすのか考え、慎重に答えを導き出そうとしていた。
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