「趣味:デスゲーム」の友人

「このランチプレート、美味おいしー!」

「食堂、並んだ甲斐があったね」


「あ、そうだ。今度の週末、デスゲーム参加してくるから」

「……は? デスゲーム? デスゲームって、あのデスゲーム?」

「うん」

「殺し合ったり騙し合ったりする、あの?」

「うん!」

「本当にやるわけじゃないよね? ネットゲームとか体験型アトラクションとかの話だよね?」

「ぷっ! あははははっ!!!!! 当たり前のこと訊かないでよー!」

「だ、だよね。あはは……」

「……ガチでやるに決まってんじゃん。デスゲームだよ? 相手を"デス"するゲームだよ? 死なないデスゲームなんて、ただのゲームだから」

「ゲム子、どうしちゃったの? 前からそんな物騒な趣味あったっけ?」

「あれ、言ってなかった? 私、趣味がデスゲームなんだー。『架空殺人事件』とか『サメゲーム』とか、よく参加してるよ。今まで一度も負けたことないんだから!」

「へ、へぇ。知らなかったなぁ」

「興味あるなら、プレ美も週末参加する? 私、ゴールド会員だから招待できるよ! 場所は、出須です町の貨物置き場で……」

「え、遠慮しとくよ。騙し合いとか謎解きとか、頭使う系苦手だし」

「フィジカル系のデスゲームもあるけど?」

「運動も、そんな得意じゃないし……」

「そっかー、残念。じゃあ、今日で一旦お別れだね。ゲーム中はスマホ禁止だから、終わるまで連絡は取れないけど、生き残ったらまた会おうね!」

「う、うん」


 †


「ゲム子、午前中は講義に来なかったな。あれから連絡ないけど、大丈夫かな?」

『(テレビの音声)本日未明、出須町の貨物置き場で爆発が発生し、複数の男女の遺体が発見されました。いずれも損傷が激しく、身元が明らかになっていません。警察は事故と事件の両面から調べを進めています』

「……うそ。あそこって、ゲム子がいるデスゲームの会場じゃ……!」

「お客様、ご注文は?」

「あっ、えっと、日替わりランチプレートをひとつ」

「(横から)私もそれー」

「ゲム子! 生きてたの?!」

「死んでるように見える〜?」

「見えない!」

「でしょ? ゲム子、無事生還しました!」

「生きてるなら連絡してよ! すっっっごく心配したんだからね?!」

「ごめんごめん。今回のゲーマス、マジでクソでさー。回収したスマホ、目の前でぶっ壊しやがったの! あり得なくない? フツーに器物損壊罪だっつーの! ムカついたから、会場ごとボカンしてきた!」

「ボカンって……まさか、貨物置き場を爆発したのって、ゲム子?!」

「そだよー。やらなきゃやられるし。それより、次こそはプレ美にも参加してもらうからね! 拒否権はなし! なぜなら、次のゲームマスターは私だから!」

「えっ?!」

「今回のゲームで優勝してプレミアム会員に昇級したから、デスゲームを主催できるようになったの。過去最恐のデスゲームにする予定だから、楽しみにしててよね! まずはコンセプトとイメージキャラクターを考えないと。どんな子にしようかなー?」


「何それ……人の命をなんだと……」

「? なんか言った?」

「私、デスゲームなんか絶対に参加しない! 他の人にも参加させない! 警察呼んで、始まる前にやめさせるから!」

「どうして? 昔はあんなに夢中になってたのに。ほら、このカード……見覚えあるでしょ?」

「そ、そのカードは! 何で、ゲム子が持っているのよ?!」

「これね、デスゲーム愛好倶楽部の会員証。プレ美が作った組織なんでしょ? こんな面白い倶楽部を作ってくれて、どうもありがとう。いつも楽しませてもらってまーす♪」

「私はもうやめたの! 倶楽部だって、とっくの昔に解体したのに!」

「逃げた、の間違いでしょ? 今度は逃げられないからね。ていうか、逃がさない」

「ッ! シャッターが!」


『これより、ゲム子様主催・颯陸さつりく大学デスゲームをスタートするのらー!』

「さぁ、始めましょ? 楽しい楽しいデスゲームを……まだ何も決まってないけど!」

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