お疲れさま冬服君

クライングフリーマン

そいつの名前は「冬服」。

 そいつの名前は「冬服」。

 変わった名前だ。、親がテレビドラマの影響を受けて「冬彦」と名付けた積もりが、「冬服」になってしまった。

 父親は仕事が忙しく、父親の親も揃って仕事で急がしかった。出生届を親族に任せたのが不味かった。

 区役所の雑踏の中、公衆電話からの電話を父親の職場にかけた親族が『聞き違い』したのだ。不幸なことに、親族は、その「有名な」テレビドラマを知らなかった。

 そして、スマホやケータイの流行っていない時代だった。

 当然、「冬服」君は、学校で虐めに遭った。

 学校は「イジメは無かった」と教育委員会に報告した。

 学校側は、イジメの実態も、彼の名前もよく調べなかった。

 こういう特殊な名前の場合、未成年でも改名することは可能だったが、両親ともに、名前に頓着しなかった。

 成人し、まともに就職出来ないと知った冬服君は、20歳を過ぎた頃、遂に念願を果たした。

 バイトで学費は稼いでいるし、両親の反対なんか押し切る積もりだった。

 だが、友人達の励ましを受けて、家庭裁判所で改名の手続きに行った冬服君は、待っていた友人達に、こう言った。

「やっぱり、ウチの両親はまともじゃない。既に『改名』の手続きをしていた。」

「良かったじゃない。費用、浮いたね。」

「違う。『夏服』に『改名』しようとしていた。」

「どうするの?」「勿論、改名するよ。『太郎』に。」

 ―完―

 ※下の名前は、成人していれば、親権者でなくとも、本人が手続きできますが、『家庭裁判所』の許可が先ず必要です。

 悩んでおられる方は、弁護士や司法書士に相談してください。

 一時、ニュースで騒がれた「キラキラネーム」等は、当人の人生に影響を与えます。

 当人の気持ちを大事にしましょう。


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お疲れさま冬服君 クライングフリーマン @dansan01

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