くろがねのシンデレラ

GANON

第1話 入学

「これをもって入学式を閉会とします。1期生の皆さん、3年間充実した学校生活を送りましょう」


 今日は高校の入学式。

 教室に戻ると、出席番号順で自己紹介の時間が始まった。

 前の人の自己紹介が終わる。


「柴咲 春花(しばさき はるか)です。中学ではソフトテニスをやってました。よろしくおねがいしま~す」

 

 さっきまでと同じようにパラパラとまばらに拍手がおきる。

 私は無難に自己紹介を終える。

 ずっと緊張していて他の人の紹介などあまり耳に入っていなかった。

 滞りもなく、20人のクラス全員が自己紹介を終える。


「では、みんなの自己紹介が終わったから俺の紹介。山田 高祐(やまだ たかひろ)、趣味は犬の散歩。授業は社会、現代社会を教えます。1年間みなさんよろしく」


「しつもーん、先生何歳っすか?」


「39歳。結婚もしています」


 最後に先生が自己紹介して締めくくられる。


「え~、この学校は、"女子工業高校"ということで、俺たち教師陣もだいたいみんな初めての環境です。皆さん1期生と同じく俺たちも初心者なので、知ったことは色々教えあいましょう」


「は~い」


 席は教卓から見て、縦に4列、横に5列。

 私は一番前、一番真ん中。教卓のまん前。

 そして机には昇降機能が付いており、背丈によって高さを変更できる。


「色々あると思うが、君たちに便利なものばかり」


 私たちの学校は神奈川県、東神奈川駅を最寄りとする、女子工業高校。

 その名も"横浜女子工業高等学校"。

 男女平等、女性の社会進出著しい現代に必要だと開校された。

 全部で4棟からなる校舎がある。

 横浜駅に近く、都心へのアクセスも容易で通いやすい。

 利便性の高い立地が特徴だ。


「それでは、校舎案内に行こうと思う。全員なんとなく並んでついてきてくれ」


 校内案内で校舎の中の施設をクラス全員でずらずらと並んで歩きながら一通り見て回る。

 まずは製図室、教室の中にキャンバスみたいなものがいっぱい並んでいた。

 実習室1~5。中には、よくわからないけど機械が並んでいた。


「どれがどの機械っていうのは俺もよくわからないので、授業が始まったらしっかり先生たちの言うことを聞くように」


 スマホで時間割を見てみる。

 授業も中学のときにはなかった科目がいくつか並んでいた。

 工業技術基礎、製図、情報技術基礎などだ。


(製図か。たしか入学準備で・・・・・・定規セットみたいのがあったな~)


「学食はB棟、この棟を出て、右手にある棟。後ろのC棟には購買、体育館とプールがあるから覚えとけ~」


 校舎内、といっても4棟あるので相当な時間がかかったが、すべての見学を終えて教室へ戻る。


「今日はこれでおしまい。明日から授業が始まります。まだオリエンテーションですが、忘れ物をしないように」


 先生の言葉で入学式は締めくくられた。


(明日から授業だ・・・・・・どんなことするんだろう)


 校門前で母と合流し、帰宅。


「どう? 頑張れそう? 先生は?」


「女子校だけど男の先生だったよ。山田先生」


 私たちは京急線に乗って、自宅マンションのある鶴見へと帰る。


「おかえり。入学式はどうだった?」


「やっぱり校舎が広いし、近くていいよね」


 リビングでテレビを見ていた父と話をする。

 父は川崎の方で工場に勤めている。家ではそうは見えないけど偉いらしい。

 父の仕事は、お客から注文を受けて、オリジナルの機械を作る。

 私は中学1年のときにその工場を見学して、父のような技師になりたいとぼんやり思ったのだ。


「今日はゆっくり寝て、明日から頑張ってな」


「うん!」


 私はこれから始まる高校生活に胸を高鳴らせ、その日の午後を過ごし、そして1日を終えた。

 翌日から新たな高校生活が始まった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

くろがねのシンデレラ GANON @GANON8192

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画