第11話

何度もキスをして、そのままベッドの上に紫の長い髪が広がった。


初めての時みたいに、心臓がドキドキする。


こんなことしたって、もう子供は産まれないけれど、

そのぶんの愛情を紫に注ぎたい。



「集」


「何?」


「……好き」



消え入りそうな小さな声。


もうなんなの。

可愛すぎる。


電気がついてなくてよかった。

きっと顔、見せられないくらい真っ赤だ。



「俺も好き」


「っ」


「紫の全部、俺のものだ」



手をぎゅっと握ってキスをした。


止まらない気持ちを、

どうしようもない愛を、

少しだけ悲しみのある想いを、


紫にわかってもらいたくて、気づいてほしくて、

何度も何度もキスをした。



大丈夫。


紫には俺がいるから。

俺にも紫がいる。


少し寂しい。

だけど、大丈夫なんだ。


「紫…」



名前を呼んで、紫の服に手を入れた。


それと同時に紫の腕が俺の首と後頭部に回った。



壊してしまいたい。

紫の悲しみ全部。



「ごめん紫。あんまり優しくできないかも」


「……大丈夫」



吹き出すように笑って、紫からキスをしてくれた。



紫を好きになった時の気持ちが、蘇ってくるような気がした。


愛しくて、大好きなのに、ちょっとだけ切ない。


心が痛い。



今も同じ。



もうひどいこと言わないから。

ごめんね。


ちゃんと話聞くから。

俺の話も聞いて。


時々寂しくなったらこんな風に慰めて。



「不倫しちゃ駄目だからね」


「ふはっ…しないよ」



紫以外の愛しかたなんてわかんない。

知らないから。


未来に確信があるわけじゃないけど。

大丈夫。


ちゃんと、一緒にいる。


紫との未来は、続いてるから。




子供ができなくても、それでも他の誰かと一緒にいたいとは思わない。


これだけはいつだって揺らがなかった。


でかける場所がなくたっていい。

することがなくてもいい。



君と同じ場所にいて、同じことができるのなら、



それだけで俺は、幸せだ。




When I loved you


君を愛した時




end

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る