第6話
付き合ったときから一度も聞いたことがない。
雪枝からの言葉。
“好き”という2文字。
そういうのって、一緒にいるうちに自然と溢れだしてくるものだと思ってた。
だけど雪枝は違かった。
その言葉を上手く“かわし”て、
体で示そうとする。
最初はそれでもいいと思ってた。
だけど本当は言ってほしい。
だって俺はこんなに雪枝が好きなのに。
その言葉が聞けないだけで、
雪枝を嫌いになってしまいそうだ。
「雪枝、やめて」
「どうしたの?」
「答えてほしい。雪枝は俺のこと好き?」
「だからなんでそんなこと聞くの?」
まだ冗談だと思っているのだろうか。
雪枝は半笑いのまま、俺に抱きついてきた。
こんなの……嫌だ。
「なんか違う」
「え…?」
「雪枝って、想像してたのと違う」
「………」
もっと純粋だと思ってた。
もっと素直だと思ってた。
もっともっと、俺のことを好きでいてくれてると思ってた。
だけど、一番大切な“好き”という言葉をくれなかったら、
もうどうしたらいいのかわからない。
「ごめん雪枝。今日は帰って」
「はるとっ「帰れよ!!」
初めて。
初めてこんな風に雪枝の前で怒鳴った。
雪枝は少し驚いたような顔をしていたけど、
すぐにいつもの表情に戻り、無言でここを去って行った。
…なんだ。
結局、こんな風に本気になってみたって、雪枝からの本音は聞けない。
俺ってその程度。
雪枝にとって俺は、
それくらいの男なんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます