第58話

「先輩」


「ん?」


「もし…先輩は子供が生まれたら…ハイジャンさせたいですか?」


「ふっ、なにその例え話」


「た、例えばですよ、例えば」


「んー…」



美景君の結婚式の今日は、4月の温かい春の日で、先輩は咲き誇る桜を見上げて私の質問を一生懸命考えていた。




「まあ…好きなことを思い切りさせたいよね」


「ふはっ、やっぱりそうですよね」


「ハイジャンでも短距離でもいいよ。音楽でも漫画研究でもいい」


「ふふっ、漫画研究って」


「母親に似て、頑張り屋さんな子がいいな」


「っ…」



その言葉を聞いて、再び先輩に目を向けると、先輩は私の頬に手を置いて優しくキスをしてきた。


先輩から、温かい春の香りがした。



「母さんが死んだとき誓ったんだ。美景と伊吹をちゃんと育てるって」


「うん」


「だから俺たちは多分、伊吹のあとになると思うけど…っていうかもうすでに結構待たせちゃってるけど」


「…っうん」


「俺と、結婚してくれませんか」


「っ…はいっ」




私が笑顔で頷くと、朝日も思いきり笑ってくれた。



こういう時は普通泣けてきてしまうものなのかもしれないけれど、なんだか嬉しくて嬉しくて、幸せでどうしようもなくて、笑顔が溢れるように零れる。



春の陽がそうさせるのだろうか。


柔らかい風がそうさせるのだろうか。




10年前も同じことを言ったけれど、もう一度言わせてください。




朝日先輩。



あなたは、私の人生を変えました。



先輩を見つけたあの日、先輩が、私の世界のすべてになりました。



先輩がいたから頑張れました。



それは今でも変わってません。



あなたが、私の世界のすべてです。


あなたがいるから頑張れるんです。



だからどうかこれからも私のそばにいてください。




明日も、明後日も、この先も、




あなたと一緒に、歩いていきたいです。




あなたの隣で、





手を、繋いで。

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愛を捧ぐ【完】 すりーぷ @mbb2tphorn

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