DEDICATE LOVE
3:伊吹
第1話
冬は苦手だ。
「ねぇ伊吹」
「………」
「伊吹ってば」
「んー…何」
「こんなとこで寝たら風邪引くよ」
「眠い…てか寒い…」
「もー、顔全然見えないよー」
そう言って月奈が笑いながら俺のニット帽をくいっと取り上げた。
静電気で立ってしまってる髪を見て月奈はまたケラケラ笑った。
現在朝8時。
ちなみに朝6時から並んでここにいる。
ちょー早起き。ちょー眠い。
ここはある百貨店の前。
こんなに早く起きて来たにも関わらず、俺たちの前にはすでに何人かが並んでいた。
ただ俺たちの年代の人はほとんどいなくて、子連れの親子や親だけが並んでいる列。
「当たるかなー古典メダル」
「シリマセン」
「ねぇ伊吹はどの妖怪が好き?」
「ドンヨリーヌ」
「…伊吹、本当に1話しか見てないんだね」
俺の彼女は最近あの某人気妖怪アニメに絶賛ドハマリ中。
朝からテンションが高い隣にいるこの人のはしゃぎっぷりは同じ列に並ぶ小学生と変わらない。
「ドンヨリーヌのせいでそんなにテンション低いんだよ!ホノボーノ呼ぼう!!」
「うっさい。ちょっと黙ってもらってもいいですか」
「伊吹って本当に低血圧だよね」
「冬苦手。まじさみぃー」
「あ、そういえばこの間のボード行ったとき競争して伊吹負けたじゃん?あれの罰ゲーム決めた」
「…何」
「真冬のディズニーランドでアイスクリーム食べて」
「なに馬鹿なの?」
「本気本気」
俺の彼女は今からゲットする予定のレアメダルの列に並んでいる時も、そうでない時もテンションが常に高い。
いつも笑顔で、友達が多くて、好奇心が旺盛。
そこが彼女のいいところだ。
まさか妖怪にハマるとは思っていなかったけど。
呆れた顔で彼女を見つめると、月奈は「ん?」と言って寒さを感じさせない満面の笑みで笑った。
そんな彼女の笑顔に出会ってから16年が経とうとしている大学4年生、22歳の冬――。
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