第17話
忙しくて、連絡もあまりできなかったのも本当。
自分のことでいっぱいで、栄人の気持ちが離れていたことに気づかなかったことも本当。
でも…ただ悲しかった。
悲しくて、泣くことしかできなかった。
何が悪かった?
どうしていたらよかった?
そんなことばかり、毎日考えてしまっていた。
彼方と付き合い始めてからも、栄人が載っているファッション雑誌を見ると心が揺れた。
会いたかったけど、会いたくなくて、もう一度話したかったけど、怖くて。
4年経っていざ会ってみて、こんなに動揺するなんて思ってなかった。
“雪路腕あげたな”
“また一緒に撮影しような”
…好きだった。
大好きだったあの笑顔でそう言われたのに。
あの頃とあなたはちっとも変わらなかったのに、
それなのに、
とてもとても、怖かった。
その声で、あなたは他の人の名前を呼んでいたの。
その手で、あなたは他の人に触れていたの。
その笑顔で、あなたは他の人を抱きしめていたの。
「彼方っ…」
栄人のことで悩んだときは、いつも彼方がそばにいてくれたから、今すぐにでも彼方に今日あったことを伝えたかった。
でも彼方はもう、私の彼氏じゃない。
友達と呼べるのかもわからない。
――“いつも撮影ばっかり行って忙しいときに全然いなくて!私たちがどれだけ苦労して仕事してるか知ってますか?!”
――“言いたいことがあるならはっきり言えばいいじゃないですか!!ムカつくんですよ!!”
私は……最低な女だ。
“じゃあ俺にする?”
“何言ってんの…冗談やめて”
“だって1人じゃ平気じゃないんでしょ?”
“それは…”
“いいよ俺は。都合のいいときに呼んでくれれば”
都合のいいときだけ、弱ってるときだけ、彼方に甘えたくなるの。
彼方が甘えさせてくれることわかってて、
――“俺も、雪路の心までいらないから”
彼方が優しくしてくれることわかってて、
――“いつも無理して、頑張ってる”
――“そんなの比べるもんじゃないでしょ”
「かなたっ……」
あなたに、会いたい。
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