第2話 師

「で、どういう能力なんだよ。お前の加護ってのは。」


薄気味悪い空間に立つ俺は黒い邪神に問う。


『…もう、受け入れたのか?』


「ああ。悩むだけ無駄だ。それに、」


『それに?』


「こうしたほうが面白そうだ。」


『!』


邪神は驚いたような顔をしてしばらく黙った後、吹っ切れたように笑った。


『…ククッ。やはりお前は狂っている。』


「お前には言われたくない。」


そう言って俺は邪神を睨む。


「で、どんな能力なんだ?」


『そうだな…。俺の能力は複数あるからな。単純なやつから教えてやる。』


「ああ。」


『おいおいテメェそりゃ、習う奴の怠惰じゃねぇだろ。…まあいいか。それで、俺が一番始めに教えんのは【暗透あんとう】だ。』


「どんな能力だ?」


『見えねぇ斬撃を固定・・すんだよ。』


「固定?」


『ああそうだ。自分が平面として認識した位置に斬撃を固定して相手が来た時に発動させる。』


「それ、威力はどうなるんだ?」


『離れてりゃ離れてるほど弱くなるが神力を鍛えりゃ鍛えるほど威力は増す。』


「ふーん。それってここで練習可能か?」


『…別にできねぇことはねえがいいのか?ここ夢の中だぞ?』


「それがどうした?」


『そりゃ肉体的な疲れはここで練習してもなんの影響もねぇが『精神』が削られるぞ?』


「ああ、そうだな。別に俺はそれで構わない。」


『そんなに父親が気になるか?』


「そうだな。おれの人生において邪魔な存在だ。」


『ククッ、そうか。』


そういうとロキは椅子から降りて手を前に出す。


『【暗透】』


「ッ!」


視界が暗く…いや死んでないっ。

俺は汗ばみながらロキを睨む。


「…今のは?」


『おお、耐えるねぇ。一度殺されたってのに。』


「どうゆう意味だ?」


『いや、意味もクソもねーよ。そのままの意味で、殺した。【暗透】でな。』


「いきなり殺すか?普通。」


『それが俺のやり方だ。』


「…。」


『まさか、辞めるなんて言わねぇよな?』


「…当たり前だ。」


『ククッ、狂ってるねぇ。』


「お前には言われる筋合いない。」


『あっそ。』


そう言ってロキは俺に近づいてきて俺に触れた。


『夜が明けるまでゆっくり痛ぶってやるよ。』


「…絶対やり返す。」


長い長い夜が始まった。


◇◆◇


「…疲れた。」


朝起きて俺が一番に発した言葉がこれだった。


(俺のこと好き放題切り刻みやがって…。)


俺の『精神』が削れるとか心配しといてやり始めたらノリノリで殺しに来たな…。

結局勝てたの最後の一回だ。

いや、『暗透』を完全に習得できたからいいのか?

そういえば目が覚める直前になんか言ってたな。


『現実の方は神力を増やす訓練しとけ。実践経験なら俺で積めるからな。』


ああ、これだ。

しかし神力を増やすなんてどうやる?

神力を使う感覚ならロキとの訓練でつかんでる。

ロキが神力について言ってたことは…。


『お前が持つ神力の量ってのはお前のキャパシティだ。テメェらが使ってるすまーとふぉん?のきがばいと?と一緒だ。すまーとふぉんでいう機体をテメェの体だとするが、機体のキャパを増やす方法なんてねぇ。だがテメェらはキャパが増えていく。何故かわかるか?無駄・・を無くしてるんだ。テメェも周りの人間も無駄が多すぎる。テメェは何故かそれでも神力の量が多いが…。話を戻すが無駄をなくすにはどうしたらいいか。それはな、』


それは…。


「…頭痛がする…。」


『とにかく緻密な操作をすんだよ。』


シンプルだった。


『テメェらが無駄が多い理由は神力を大雑把に捉えてるからだ。』


曰く、今の俺は水みたいに複雑に広がった神力を大きい球体として捉えているらしい。

最早何にも捉えられてないと言われた。


「…難しいな。」


今俺は一本の細い線を神力で作っているがこれが中々に難しい。

ちなみに人間は普通神力が増やすには沢山使用すればいいと思っているらしい。

確かに使う過程でより正確に神力を捉えられるようになるがこれは効率が悪い。

何故他の神は教えないのか聞いたら"自分に不利益が回ってくる可能性があるから"らしい。

詳しくは教えられなかった。


入学日まで、あと一週間。


◇◆◇


(ロキ、お前が昨日言ってた真化しんかってなんだ?)


ロキと出会って3日経った。

その過程でロキと夜訓練を重ねているがその過程で『コイツは真化するのも早いかもな…』と言っていたことがあった。

この言葉が妙に頭に残ったので昼間ではあるが頭の中にいるロキに聞いてみた。


『ああ、真化か。そうだな…。どう説明するかな。まずお前はオレに力を貰ってるよな?』


(そうだな。)


『その力が完全に体に馴染んだ時になんらかのきっかけで出来る新しい力だ。』


(ロキにはない力ってことか?)


『ああ。オレの能力の系統には反映されるが基本的にお前が望むような力が手に入るぜ。』


(それは…早く来て欲しいな。)


『まあ完全に体に神力が馴染んだらもう神力の量は増えねぇけどな。』


(まあ、どっちにしてもやることは変わらないな。)


『ああ、そうだな。』


そうして一週間が過ぎて俺は入学式を迎えた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

東京都にある養成学校に主人公は入りますが入学式は地方で力を授かった者達を考慮した上で最短である結果教会での全国での祈りが終わって一週間してからやります。


あとこのままノロノロ更新しますが8月ぐらいには書きだめを吐き出そうと思ってるので期待しててください。

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