似てない二人
朝起きて、窓を開ける。昨日のうちに散らかった部屋を片付け、一階に降りる。
一階には両親が居て、朝の支度をしていた。私は、自分の椅子に座って先に朝食を食べる。私の隣の椅子は、今日も空っぽだ。ここにはいつも姉が居るはずなのに、最近は一階に姿を見せていない。
私は、一卵性双生児の妹だ。幼い頃は姉と同じ髪型と服装にされていた。あの頃の私には自分というものが無かった。
自我が芽生えてからは、同じような服装も嫌になった。私だけ髪を切り、ずっと履いていたスカートも履かなくなった。それを見た両親も、私に姉と同じ服装をさせなくなった。
朝の支度をしていた両親も、座って朝食を食べた。先に食べていた私は、皿を片付け、制服に着替える。制服も、私はズボンを履いている。私が通う中学校は、最近ジェンダーレス制服を導入していて、男女関係なくズボンかスカートを選べるようになった。
「
父が私にそう声を掛ける。私は二階に上がって瑠維の部屋の扉をノックした。
「瑠維、先に行ってるからね」
返事はない。それも、一週間前からそうだった。私は扉に背を向けて、家を出た。
今から二日前、私と瑠維は喧嘩をした。それから、瑠維は学校にも行かなくなった。両親はそれを深く聞こうとはしていない。あの時、私は謝った。けれど、形だけの謝罪はいらないと、突き放された。
それから、瑠維は姿を見せていない。私が知らない間に両親と話したのだろうか。
そう考えながら歩いていると、横から声を掛けられた。スカートにリボンの組み合わせの、制服を着た子だった。
「璃羽ちゃん、おはよう」
私に挨拶したのは、幼馴染でクラスメイトの
「瑠維ちゃんとまだ仲直りしてないの?」
「うん、お互い譲らないからね、これは長引くよ」
「私がもし、お兄ちゃんと
奈美には高校生の兄が居る。私と同じように妹だけれど、私と違って人懐っこい。私は変に理屈屋の所があるから、人が寄り付かないし、仲の良い子も少ない。
私と瑠維は一卵性双生児だから、性別も、生年月日も一緒だ。両親から受け継いだゲノム配列も、一部を除いて変わらない。
けれど私達は、性格も趣味も違う。大切にしている信条も正反対だ。
同じような存在が居たからこそ、私は確固たる自分を探していた。瑠維もきっとそうだろう。成長する中で、お互い似ているけれど別の存在になった。
私は今日も一人で学校に行った。瑠維の事は心配だが、瑠維一人に構ってはいられない。 私は今日も授業を受けて、家に帰った。
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