『藍の檻』

無名人

序章『藍の檻』


 藤宮ふじみやと呼ばれるこの町がかつて村と呼ばれていた時代の頃だ。封魔の力を持つ一族が村を治めていた。

 その一族の一人に、一際強い力を持ち、人々に慕われた男が居た。彼は、死者を蘇らせた金の目の男と戦い、村から退却させた。


 彼は自らの名を後世に残さなかった。だが、一族の誰よりも強い力を持ち、尚且つそれを人々を守る為に使った。

 彼の力を宿した鍵である『封魔の鍵』と、その鍵穴を持つ神器は、怪異を封じる為に使われた。その神器は、魔封まふうじ神社に奉納された。


 ところが、彼がこの世から去ると、金の目の男が再び村に現れた。金の目の男は、神器を神社から盗むと、封印されていた怪異を解放した。

 封魔の一族は金の目の男を捕まえ、怪異を封印しようとしたが、金の目の男によって一族は根絶やしにされた。

  

 それから、封魔の一族の遠縁の家系が神社の宮司を務めるようになった。その一族も金の目の男を探していたが、見つからなかった。解き放たれた怪異も、封印される事はなく、神器は見つからなかった。

 その怪異は、今もこの町の何処かに棲み着いているとされている。

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