序章2-Ⅲ
「なんか待ってるのもダリーしよぉ」
「荒らすだけ荒らして帰るかぁ??」
(これだからならず者はいけ好かない……)
(面倒。)
「帰って貰いましょうか」
鷹は、薄く声を張った
「?!」
「誰か居るんか?!?」
反響した声からは返答はない。
だが、次の瞬間
「うぉおおおおおお!!」
「うあああァァァァァ!!」
二人はたちまち見えない所まで吹き飛ばされていった。
「なんのよう?」
アルマは残った一人に近づき声をかけた。
「何やら、美しい気配がしてねぇ」
この男の風貌。
やたらと細身で、縦に長い
そして、先程の突風を見ても
何食わぬ顔をしている……
アルマは少し考えながら、問いた。
「帰って」
「アナタの求めるものは、きっと」
「ここにはないから」
ハッキリと告げた
「どうやら、そのようだねぇ」
声の主は続ける
「帰るよ」
「ただキミとは
またどこかで会える気がするよ」
ははっ、と笑う仕草すらも少し
いやらしさを感じる……
と、鷹は訝しんだ。
そして声の主は去った
(いけすかない……)
(何なのかしら。立て続けに)
(おかしなことばかりおきる……)
(もう……なんなのよ……)
静かになった森
そして気付けば、足下にはリスとネズミが見上げていた。
(大丈夫よ)
(風は穏やかになったわ)
(きっと、大丈夫)
アルマは森のさざめきを聞きながら、
安らかな気持ちを取り戻した。
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