Thinkpad
fuwafuwaGT
プロローグ
「ああ、ハルカの声が聞こえる」
ベットの横で、女性が泣いていた。ベッドの上には幼い女の子が眠っていた。女の子の腕には点滴が刺さっていて、胸のあたりにいくつか電極が引っ付いていた。電極から伸びた電線がモニター付きの医療機器に繋がっていた。ピッピッという無機質な心電図を取る機械の音と女性の泣き声が、病室に響いていた。
女性が泣くたびに、ぼた、ぼたと涙が床にこぼれ落ちていった。
「ああ、ハルカの声が聞こえる」
女性は何度も何度も、そう言って泣いていた。女性は女の子の腕に頬を押しやって、愛おしそうに両腕で抱きしめていた。ベッドの脇にある机に、黒いノートパソコンが置かれていた。艶消し塗装の、黒い筐体だった。女性はそのパソコンを見るたびに、涙を溢れさせた。
女性の様相は酷いものであった。瞼は
女の子の顔は、ぴくりとも動かなかった。女性が横で泣いていて、腕を抱きしめられているというのに、ちっとも反応は無かった。女の子は寝返りもせずただずっと眠っていた。女の子の寝ている姿には、なんだか生気がなかった。まるで、人形がベッドの上に寝ているかのようであった。
「ああ、ハルカの声が聞こえる」
冬の静かな夜だった。明るい月が、優しく病室を照らしていた。窓の外の街の明かりが、星のように瞬いていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます