鳩のあしあと

トモル

鳩の生き方


ある晴れた日の公園。

休憩がてらベンチに腰掛けると、すぐに鳩の群に周りを囲まれた。


その中に一羽、足の指のない鳩がいた。


生まれつきだろうか、

ケガをしたのだろうか、

それとも人間のせいだろうか。


原因はわからないが、その鳩は指のない足で体を支えながら、他の鳩たちと一緒に歩に回っていた。


痛くはないのか?

辛くはないのか?

生きていくのは苦しくないか?


鳩は何も答えないが、

問うた言葉が、木霊のように返ってくる。


お前は、苦しいのか?と。


しばらくして、人間に興味をなくした鳩たちがベンチから離れていく。


それを合図に、自分もベンチから立ち上がる。

手元の杖を支えにして。



なあ鳩よ、

また会えたら、君の話を聞かせてくれないか。

君が経験してきたことや君が考えていること、

君の見ている世界のことを。


人間というのは面倒だな、なんて言わないでさ。





 

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鳩のあしあと トモル @a_tomoru

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