霊界日記〈日本版・怖い話と霊体験〉
@shigeru000furuse
第一話 伊勢神宮で神主修行
〈これは『霊界エクスプレス』の第二弾となります。構成がまだ固まっておりませんが、どうかご愛顧を (^^) 〉――編集部 柿田角蔵
【神宮へ――】
高校の頃、俺は勉強が嫌いだったので、自分の好きな本ばかり読んでいた。
あとでけっこう関係してくるが――一番興味を持ったのは平安時代だった。
武士の文化も好きだったので、武家屋敷の優雅な書院造りの部屋とか、そういった武家文化にも良いなあとは思ったが、文化風俗的には平安時代が一番美しいと思った。
さらに――ある人をきっかけに神社に興味を持ち始め、古事記日本書紀などにも早くから慣れ親しんできたこともあって、神主になろうという気持ちになっていった。
――うん、平安時代を体験するには神社が一番だ――
確かに現代社会において、千年も前の世界が時間が止まったかのようなところは、神社しかなかった。
そして不思議な縁であろうか、この学校を紹介されたのである。
伊勢神宮ともなにかと御縁があり、それもこれも神さまの不思議なお導きなのであろうか。
ちなみにここへ来られたついでに良いことを教えて進ぜよう。
ふつうの人は伊勢神宮と言っているが、正しくは『神宮』である。
正式名称は、宗教法人 神宮 である。
よって、神宮と言えば伊勢神宮しかなく、それほど格が別格なのである。
神宮は全国にいろいろあるが、それは皇室に関係ある神社にかぎり許される。
さて、神宮には神主を育成する養成所があり、そこは全寮制で二年間びっちりと神学を学ぶ学校だった。
四年制の正規の大学と比べると短いが、そこは神職養成に特化したカリキュラムであり、神社としては一日でも早く神主の卵を欲しいところなのだろう。
生徒数は二〇人程度でまさしく寺子屋――学舎と寮が隣り合わせであり、別棟の剣道場も備えている。
剣道場の前が広くなっており、弓道も出来そうだ。
もともと神宮の御札をつくるところだったらしく、あとから学校を作って敷地を少し頂いたようだ。
【神宮の杜の
ここで少し深刻な願掛けをする必要があり、天照大神のもとへお祈りに行くことにした。
〈ちなみに天照大神の最高の言い方は『天照坐皇大御神』あまてらしますすめおおみかみ――といいます。祝詞ではそう唱えます〉
神様に一歩でも近づけば邪悪な霊は寄って来ないだろうと、そんな願掛けだった。
広い神域を進んでようやく本殿前につくことが出来た。
神殿前は恐れ多いので石段下に正座してしばらく祈りを捧げた。
すると――右側の深い森の中から一匹の
すでに両手を合わせ祈祷に入っている。
――いまさら中断して追い払うのもかっこ悪いし、神さまに誠意を疑われてしまうし、〈ええい――ままよ〉と、試練に耐えることにした。
虻(あぶ)ごときに負けてたまるか!ーー死にはしないだろう。
痛くはなかったが右頭頂あたりに猛烈な吸引力を感じた。
数センチほど円形にジ~ンと来る痺れとともに血を吸われている感覚があった。
しばらくしてたらふく血を吸い終わったのか――また深い森へと消えていった。
〈このことは神職の中で噂になったらしい〉
しかし、まだ終わりではなかった。
参拝を済ませ休憩所まで来ると――顔見知りの神主さんがいた。
挨拶をしようと笑顔で近づいていくとどうも様子が変だった。
目をまん丸くして驚愕の表情を浮かべていた。なんでだろうと思いつつも洗面所に立ち寄り、鏡を見てみると今度は俺のほうが驚いた。
右のこめかみ部分から下顎にいたるまで、一筋の血が滴(したた)って、すでに固まっていたのだ。
これではいかに親しい神主さんでも度肝を抜かれるはずだ。
さて、神様にもお願いしたし――その日の夜のことだった。
薄い青緑色の狩衣を着た――見るからに高貴そうな神霊?が四体、四隅に伺候し、あたかも俺を護ってくれているかのようだった。
青緑色の衣も人物全体も神々しく内から光り輝いているようだった。
真っ暗な空間なのに光沢を放っていた。
間違いなく神さまに願いが届いたのだ。
……とは言うものの、何事もなく守られていたのは三日程度で、それが過ぎると契約の切れたレンタルビデオのように、まったく効果がなくなってしまった。
一時凌ぎの守りなど自衛隊よりも中途半端で――弱々しく意味がない。
また四日目か邪悪な霊たちの攻撃が始まった。
期限付きのお守りでは意味ないではないか……とは思いつつも、確かに神霊という厳かな存在の一端に触れたことは、何ものにも替えがたい体験だった。
【謎の女霊たちがやってくる】
そうしたなかでも――勉学の合間に霊の女の子が遊びにやって来た。
このころになると――金縛りというよりも自然な感じでいつのまにか――一応寝た状態だが――あちら側に入っていた。
〈じつはここでは述べてないが、高校の頃よりこうした体験をしており、何百回とこなした熟練者だった〉
――霊はだいたい口をきかない――ただ黙ってそこにいるだけだ。
――女は全裸だった――
とくに脱いだとか脱がせた記憶はない。
〈基本、霊は裸なのかもしれない。たしかに人間でさえ服はあとからくっつけたもので、ただの肉の塊とも言える〉
俺は女の胸の辺りの先端部を吸った。吸いすぎて伸び切って、かなり長いさつま芋の尻尾みたいなのが――口の中を泳いでいた。
あとにも先にもあんなことは初めてだ――伸びすぎる。
この女もどこの誰とも知れなかった。
たまにはこんなふうに可愛い子が来てくれる。
――しかしだいたい暗闇であるので、顔もはっきりせず、同じ霊なのか違う霊なのかさえわからない――
何回か来ているのだが複数の霊なのか同一の霊なのかさえわからない。
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