第2話:そのマッチ相手、もしかして…

「へぇ…面倒見がいいって言われる、か……」


スマホを見つめながら、俺は思わずため息をついた。

プロフィールの内容、趣味、話し方――どこか、あいつに似てる。


(まさかな……いや、でも……)


画面に表示されたチャットをスクロールする。


<「犬好きって書いてあったけど、何犬が好き?私は柴犬推し!」 「ゲームやるんだね!RPG系?それともFPSとか?」>


テンポの良い会話、馴れ馴れしすぎず、でも妙に親しみやすい文体。

そして決定打。


<「最近は弟の世話でバタバタしてる〜😅下の子って本当に手かかるよね〜」>


(弟……?七瀬も、確か弟いたよな……)


まさか、な。でも、もし本当にあの七瀬だったら?

俺の幼馴染が、匿名の世界で自分とマッチして、楽しく会話してるとしたら――


「なにニヤニヤしてんの?」


――ビクッ。


教室に戻された現実の声。

目の前には、当の本人がいた。七瀬 茜。俺の幼馴染。


「べ、別に。」


「ふーん。…珍しくスマホ見てニヤけてるから、彼女でもできたのかと思った〜」


「ち、違うわ。」


「ふーん?」


七瀬はじーっと俺の目を見つめる。


(こいつ、まさか……!)


「……悟って、マッチングアプリとか、興味ある?」


「なっ……!」


(あかね、お前、まさか――)


教室の中、ふと目が合ったその瞬間。

お互いの顔に浮かんだ、微妙な“違和感”と“予感”。


すれ違うふりをしながら、始まりかけていたのかもしれない。

俺と七瀬の、ちょっと不思議な恋の物語が――

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