高校生専用マッチングアプリで幼馴染とマッチングした

@tubotuboex

第1話:マッチングアプリは突然に

春の風が校舎の隙間をすり抜け、花びらを教室の窓からそっと運んでくる。

新学期、2年生になった俺――藤本 悟(ふじもと さとる)は、特に大きな期待もなくいつものように席に座っていた。


「おはよ、悟。」


後ろの席から聞こえたその声は、聞き慣れたものだった。


「おはよ、茜。」


彼女の名前は七瀬 茜(ななせ あかね)。

小学校からの幼馴染で、俺のことを誰よりも知っている…と本人は言う。


だけど最近、なんとなく距離を感じていた。

高校に入ってから、彼女はどんどん明るくなって、友達も増えて…

一方俺は、相変わらずの陰キャ気味な日常を送っていた。


そんな俺に転機が訪れたのは、帰宅後の夜。

ふとした気まぐれでダウンロードしたアプリ――


『Hiマチ』

高校生限定の恋愛マッチングアプリ。

匿名・学校非公開・写真はイラストOK。

趣味や性格でマッチング!


最初は冷やかしだった。

プロフィールも適当に入力して、イラストアイコンを設定して…

数分後。


「……え?」


スマホに表示された通知には、こう書かれていた。


マッチング成功

あなたと相性90%以上の相手が見つかりました!


「へぇ……90%って、そんなすぐ見つかるもんなのか?」


メッセージ画面を開くと、相手の名前は「あかね」。

趣味:ゲーム、漫画、犬好き。

チャームポイント:面倒見がいいって言われる


(……なんか、既視感あるな……?)


――そして、最初のメッセージが届いた。


<「はじめまして!なんか趣味とか、すっごい似ててびっくりした笑」>


このときの俺は、まだ気づいてなかった。

その「あかね」が、まさか教室の後ろの席のあいつだなんて――

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