第2話一ノ瀬羅一

“ルミナス・オンライン”発売当日

俺はワクワクしてゲームを始めた。もちろん大金を稼ぎたいが、それ以上にゲームをプレイするのが楽しみなのだ。

ゲームを開始するとまず最初に職業を選ぶ。

俺が選んだのは、剣士だ

剣士の職業はレベルアップ時にVIT(筋力パラメーター)と素早さパラメーターに補正がつく。

剣士の初期スキルに「ジャストパリィ」というものがあり、敵の攻撃をタイミングよくパリィすると自身のVITおよびAGIが5%ずつ、50%まで上がるというスキルだ。

“ルミナス・オンライン”を始める前に少し見たネットの情報によると、この「ジャストパリィ」を決めるのは相当難しく、狙って出せる人などいないとのことだ。

だが、俺はゲームにはかなり自信があり、父親が他界して売ったゲームでは日本ランキングで一位になる程だった。

俺なら「ジャストパリィ」を狙って出せるだろうと思い、剣士を選択したのだ。

剣士を選択した後、ステータスポイント20を振り分ける。完璧なスタートダッシュを切るために身長に選ぶ。

剣士の強みのVITとAGIにそれぞれ7ずつ振り分け、残りは取っておくことにした。

そうしてようやく冒険を開始する。

目を開けると目の前に広がるのは

第一の町のイングラスだった。

たくさんのプレイヤーやNPCがいたが、俺は好奇心のままに真っ先にイングラスを出てすぐにある初心者用の森に突っ走った。

武器は初期装備の片手剣だけ、防具も何もない状態だがそんなことは気にせずモンスターを探した。

森に入ると早速、でかい鉢のようなモンスターが飛んできた。素早く針を突き刺しにくるが、俺はその攻撃を見事に「ジャストパリィ」し、すぐさま反撃する。このゲームはどこを攻撃するかによってクリティカルが出るかどうか判断するらしく、首を狙うとクリティカルが発生していて難なく倒すことができた。蜂は蜂蜜と毒針をドロップした。さらにレベルがアップした。「レベルアップするとステータスが自動で上がり、自分で振り分けられるステータスポイントを1貰えるのか」

そんな事を考えているとさらにモンスターがやってくる。俺は次々にモンスターを倒していく。

夢中になっているとだんだん出会うモンスターの数が減っていった。

「結構レベルも上がったしそろそろログアウトするか」

俺がログアウトしようとしたその時、

突然背後から気配を感じ、咄嗟に横に飛び避けた。

すると、さっきまで俺がいた地面は抉れていた。

俺はあまりの威力に目を丸くしつつもすぐに臨戦体制に入る。相手はさっきまで倒しまくっていた鉢のレアモンスターのようで「ビーファイター」と表示されていた。VITは言うまでもなく相手の方が上だがAGIはどうか、そんな事を考えていると鉢は突然動き出す。

俺は咄嗟に反応し、なんとか「ジャストパリィ」する。今のままだとVITもAGIも相手方が上。どうしたものかと考えているとさらに鉢のモンスターがやってきた。防具もなく、防御力も上げていないので、ビーファイターの攻撃を1発でも食らえば死んでしまう。そう考えた俺はとにかく逃げた。

だが、ただ逃げるだけではなく鉢のモンスターを倒しまくって8レベまで上がった時にもらったステータスポイントを全てAGIに振り分けた。それでもビーファイターと同じくらいのAGIだが俺はいい作戦を思いついていた。逃げるのをやめると鉢たちは俺を囲んできた。

絶体絶命の状況だが俺は冷静だった。鉢のモンスターの攻撃をジャストパリィし、ビーファイターに攻撃の軌道を逸らした。

当然ビーファイターはかわしたが、一瞬の隙が生まれた。その隙に俺は先ほどまでに倒した鉢のモンスターたちからドロップした大量のはちみつをビーファイターに当てた。

はちみつはAGIを下げる効果があるのだ

AGIで上回った俺は一気に攻撃を仕掛ける。全ての攻撃でクリティカルを出し、ビーファイターを撃破した。ビーファイターからはレアドロップらしき針と上質なはちみつがドロップした。

疲れつつも達成感を味わっていると、称号「虫殺し」と「ジャイアントキリング」、スキル「クリティカルアタック」を覚えたと通知が来た。

「虫殺し」は虫モンスターに対して与えるダメージが1.5倍になる

「ジャイアントキリング」は自身より高いステータスを3つ以上持つ敵と戦う時自身の全てのステータスを1.5倍にする

「クリティカルアタック」はクリティカルのダメージが1.5倍になる

というものだった。

とくに「ジャイアントキリング」は自身より高いステータスを3つ以上持つ敵に一回もダメージを受けずに倒すと貰える称号らしく、その効果もすごいものだった。

充実した一日を過ごした俺は流石に疲れて、ログアウトしてすぐに寝ることにした。

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ルミナス・オンライン @kuroaoneko

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