寿司を回すべきか
ピチャ
寿司を回すべきか
私は考えている。なぜ人は寿司を回したのだろうか。
目の前で握ってもらえる贅沢な品を、なぜ安値で提供できるようにしてしまったのか。
入手しやすいお値段で提供することで、庶民には親しまれるようになるだろう。しかし、何分質が落ちる。それは今まで必死にブランド化した寿司のイメージを変えてしまうだろう。興味本位で近寄ってくる野次馬も多い。ここで、高級なままの寿司を好む人と、安価にした回転寿司を好む人とで客層が二分されるだろう。
品物を安価で提供するには、大変な苦労がある。
大量に仕入れる、流通経路をショートカットする等はよく知られている。
また、サービスを入れることで新規客の確保をすることもあるだろう。
しかし本来売り上げを立てるためには、既存客にこそサービスをするべきだろう。お得意様を手離しての商売など存続しない。信頼と実績に勝るものなどないのだ。
確かに、そこには新商品とその情報が必要とされるだろう。足で稼ぐ者の役目だ。こうして役割分担をすると、違う仕事をする者の足を引く者がいる。しかし羨ましがれど、交代してみるとその苦労がわかるものだ。得意分野を生かすのが一番稼ぎやすい。自己の特性を把握している者は、上手く立ち回れる。
経営はコントロールだ。どの企業も、得意なところを強みにし、不足しているものは補う。苦手なことを仕事にした者は、倍ほど働いて一人前なことがある。得意なことをさせれば倍も稼げるのに。
しかしそこは時代の流れもある。上手い者はそれに乗れるが、諦める者もいる。
ここで寿司の話に戻る。回転する寿司は、時代の流れによく似ている。
要は流動するものを掴むのだ。回転寿司は安いが、その考案は決して安物ではない。システムを考えた人とそれに乗りきった人の切れ味がシャリの上で光っている。その光は考案した人の頭にいつもいたのだろう。
できれば、その完成品としての味を感じられる頭を持ちたいものだ。その頭があれば、寿司の味は幾重にも感じられるだろう。
寿司を回すべきか ピチャ @yuhanagiya
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