聖()女のなり方①
そのときの私の目の前には、トラックが迫っていた。
私が動かないでいると、光に包まれる。
そのまばゆさに耐えられず、思わず目を閉じる。
光がだんだん収まっていくのを感じ、目を開いた。
そこには、上には煌びやかなシャンデリア、たくさんのドレスやタキシードを着た人たち。
豪華な食事も並んでいる。
そこにいる人たちは、私を一心に見ていた。
目線を自分の体に向けると、事故が起きたときと同じ、自分の通っている女子高の制服。
(これは場違いだわ)
しかし、先ほど事故にあったばかりの私がどうしてこんなパーティー会場にいるのかが分からない。
いや、数多のアニメを見てきた私に一つの仮説が頭に浮かんだ。
「何があったんだ」
男の人の声が聞こえてくる。
その男の人がこちらに近づいてくると、モーセのように人々が分かれていく。
座り込んでいる私の目の前にたどり着いた。
さらさらした金髪に、ルビーの瞳の顔の整った、白い華やかないかにも王子様みたいなタキシードを着た男の人。
その背後に、絹糸のような長いさらさらした銀髪に、冷たいサファイアのようなきりっとしたつり目、青いマーメイドドレスを着た女性にしては背の高いまるで美術品みたいな女性がいた。
私は推定王子様より、その人から目を離せない。
「…君は」
推定王子様は私を見て、息を飲んだ。
「立てるかい?」
推定王子様が私に声をかけ、手を差し伸べるので、そちらに視線を向け、手を取る。
「みんな、すまない。今日のパーティーはこれでお開きだ」
推定王子様は、その場にいる全員に呼びかけた。
「場所を移すぞ、クラーラ」
「承知しました、殿下」
クラーラと呼ばれた女性が恭しく頭を下げる。
私は彼らに連れられ、パーティー会場から出ていった。
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