私小説とエッセイの間

白井エフ

だいじょびたい

苦肉の策だった。


「大丈夫?」に対しての答えはきっといろいろあるはずなのにどうしてもパッとイエスノークエスチョンだと思ってしまう。「大丈夫」と答えれば嘘だし、せっかく差し出された手を払うようなことだし「大丈夫じゃない」と答えれば相手を困らせてしまうだろうという気遣いに似た小さなプライドはまだある。


「だいじょびたい」は心の叫びだった。抽象化された「助けてくれ」であり、希望を捨てちゃいないという強がりであり、差し出された手を取ることも払うこともできない哀れで臆病で陰気なくせに縋るようなギラギラした眼差しだった。

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