一年後の自分

一ノ瀬 夜月

一年経って変わったこと

 入学式に出席するため、新品のスーツを着て、駅に集まる新入生。彼ら、彼女達を見て、ちょうど一年前の入学式のことを思い出す。

服装、天気、会場の雰囲気など......それほど鮮明には思い出せないけれど、大まかなことは覚えているの。少し不思議な感覚がしたね。


 次に、大学で下級生から履修相談を受けたの。君の気持ち、よく分かるよ。一年前は、私も困って、悩んでいたから。なるべく分かりやすく、欲しいであろう情報を話す。少しでも役に立てたのなら、良かったよ。


 そして、サークルの新歓。みんな元気で、いきいきしているね。学年は一つしか変わらないのに、自分が年を重ねたのだと、実感したよ。


 後は、これも外せないよね。どの講義でも、知り合いがいること。久々に会う子もいれば、最近会ったばかりの子もいるの。一年前より、講義に出席することに緊張しなくなったかな。


 最後に、去年参加した推しのライブのことを思い出したの。ちょうど四月頃で、単独開催のライブを観に行くのは初めてだったね。グッツや服装を念入りに準備。ライブで披露されるであろう曲を聞き込んだりもしたかな。とにかく、胸が高鳴って、楽しんでいたことは覚えているよ。


 けれど、今はその人から離れた後。イベントに行くことはもう無いだろうから、そのことを考えると、胸が締め付けられたように苦しくなるの。けれど、ずっと変わらず推していけなくても、あの時の思い出は残り続けるから。だから、前に進めるの。

                  完

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一年後の自分 一ノ瀬 夜月 @itinose-yozuki

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